インディアナポリス・モータースピードウェイのロードコースで開催されているインディカー・シリーズ第5戦インディGP。14日に行われた決勝レースは、サイモン・ペジナウ(チーム・ペンスキー)がポール・トゥ・ウインで3連勝を飾った。佐藤琢磨(AJフォイト)は、厳しいレースを戦い18位フィニッシュとなった。
インディアナポリス・モータースピードウェイのロードコースを使うレース、グランプリ・オブ・インディアナポリスは今年が3回目だ。第1回のウイナーはサイモン・ペジナウ(当時はシュミット・ピーターソン・ハミルトン・モータースポーツ)。昨年の2回目はウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が勝者だった。
今年の予選では、2連勝中のポイントリーダー、ペジナウがポールポジションを獲得。予選2位にはチップ・ガナッシのチャーリー・キンボールがきた。シボレーの1-2だ。ホンダ勢は、スムーズな路面の高速ロードコースではシボレーとの差をここまでの4レース以上に縮め、グラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が予選3位を手に入れ、ジェイムズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)が5位、予選6位にはジャック・ホークスワース(AJフォイト・レーシング)が食い込んだ。
しかし、レイホールは重量違反(900gほど軽かった)でグリッドを24番手に下げられた。予選5位だったシボレーのジョセフ・ニューガーデン(エド・カーペンター・レーシング)も同様で、彼は最後尾の25番グリッドからのスタートとなった。
決勝日は朝から非常に気温が低くなった。レース中も摂氏10度までしか上がらなかった。風もあり、とても寒い1日だったが、レース内容は熱かった。
予選までとまったく異なるコンディションもペジナウの足枷とはならず、第3戦ロングビーチ、第4戦アラバマ以上の強さを見せて彼はシーズン3勝目を飾った。ピットタイミングの良さでコナー・デイリー(デイル・コイン・レーシング)がレース中盤にトップを走ったが、彼がピット・ストップに向った後にペジナウはハードプッシュ。チーム・ペンスキーのクルーたちのピット作業のスピーディーさも手伝ってレースリーダーの座に返り咲き、その後は危なげなくゴールまで走り切った。
これでペジナウは3連勝。優勝3回、2位2回という驚異的成績をシーズン序盤の5戦で記録し、ランキング2位のスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)に76点もの差をつけている。
「マシンがまたしてもファンタスティックだった。スタートからゴールまでバランスはパーフェクト。トップを走っていた時はタイヤを労りつつクルージングしていた。ピットストップも最高だった。これで3連勝だ。信じられない」とペジナウは興奮していた。去年のチャンピオンは3勝したドライバーだった。今の勢いなら、ペジナウはもっと勝ち星を重ねるだろう。そうなれば初タイトルへと突っ走ることも可能だ。
2位は13番手スタートだったエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)。序盤はトップ10に入れずにいたが、アクシデントによって彼より前のグリッドから出た2台が後退し、1回目のピットストップを全員が終えた時点で7位までポジションを上げていた。そして、37周目にセバスチャン・ブルデー(KVSHレーシング)がコースにストップして出されたフルコース・コーションの際、タイミング良くピットに入っていたことで、カストロネベスは一気にトップに躍り出た。
リスタートでデイリーにパスを許し、その後にチームメイトのペジナウにも先行されたカストロネベスだったが、終盤に背後に迫ったジェイムズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)は封じ込めることに成功。今季二度目の表彰台に上った。
「絶対に諦めない、強い気持ちによる2位獲得だ。チームの全員が力を合わせ、強いハートと情熱を持っていたからこそ、幸運を呼び寄せることができた。インディ500に向けて勢いを手に入れることもできた」とインディ500優勝3回のカストロネベスは喜んでいた。
3位はヒンチクリフ。キンボールとのドッグファイトを制し、レース終盤にはカストロネベスの攻略にトライしたが、果たせず。それでも今シーズン初の表彰台は嬉しい結果だ。
そして、4位にはレイホールがきた。24番グリッドから20個もポジションアップする見事な追い上げだった。2列目イン側グリッドからのスタートだったら、ペジナウを苦しめる存在となっていただろう。決勝日の朝のプラクティスでチームメイトのルーキー、スペンサー・ピゴットが小型のリヤウィングをテスト。決勝にそのセッティングを移植したレイホールが快走。ピゴットも11位フィニッシュ。レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングは昨シーズン以上の戦闘力を身につけているようだ。
佐藤琢磨は20番手スタートから18位でゴールした。マシンにスピードが無く、厳しいレースに終始した。1回目のピットストップ後に、コースとの合流地点でラインを乱し、ドライブスルーペナルティを科せられたのも痛かった。
「今週末はプラクティス3で一時的にマシンが良くなりましたが、予選ではスピードがなく、決勝でも戦えるだけのスピードがありませんでした。朝のプラクティスから決勝に向けてマシンにセッティング変更を施しましたが、グリップが足りていないのでエアロに頼らざるを得ず、僕らはストレートが遅かった。なぜ遅いのか、その原因を突き止めなくてはなりません」と琢磨は話していた。
次戦は、100回目の開催を迎えるインディ500。プラクティス走行は、16日からスタートする。