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GP2レポート:松下は接触やピット作業ミスで12位。それでも「戦っていける」

2016年05月15日 04:01  AUTOSPORT web

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松下信治(ART)
5月14日、F1スペインGPと併催のバルセロナで、GP2の2016年シーズン開幕戦が行われた。しかし、昨年の王者ストフェル・バンドーンを引き継ぎ、カーナンバー1を背負ってチャンピオンを目指す松下信治にとっては、すべてが噛み合わないレースになってしまった。

 まず金曜夕方の予選では直前に雨が降り出し、1回目のランはアタックのタイミングが早すぎた。逆に2回目のランは早めにアタックしたものの、その後に雨が完全にやんでしまい、さらにはトラフィックに引っかかって8番手タイムに終わってしまった。不運は重なるもので、アタック後に他車を妨害したとして、3グリッド降格のペナルティまで科されてしまった。

 11番グリッドから臨んだ土曜午後のレース1では、まわりのドライバーのタイヤ選択を見て、スタートにハードタイヤをチョイス。好発進で8番手まで浮上して松下らしさを見せたが、ターン5で後方から無理な飛び込みをしてきたセルジオ・カナマサスにぶつけられて右フロントのホイールリムを破損してしまう。

 これで松下は10番手に後退、それでも「内圧が半分くらいに下がった状態だったんですけど、なんとか走り続けることができました」と、前との間隔をコントロールしながらタイヤを労って走った。



 1周目のターン3でルカ・ギオットがタイヤバリアに突き刺さったためセーフティカーが導入されて、6周目にレース再開。ソフトタイヤでスタートした4番手アレックス・リンや9番手ジョーダン・キングなどは、この展開が裏目に出て、序盤でピットストップをすると後方集団へと沈んでしまった。

 首位ピエール・ガスリーが2番手ノーマン・ナトと3番手セルゲイ・シロトキンを従えて走る展開となり、ここからは各車タイヤマネージメントを考えて動きの少ないレースに。

 しかし松下は18周目を迎えるあたりからピットストップを見据えてプッシュを始め、自己ベストタイムを更新する。そんな矢先の24周目にシロトキンがターン2イン側の縁石に乗って痛恨のスピン。さらにコース上でストールさせてしまい、ハードタイヤでスタートした面々にとっては絶好のタイミングでセーフティカー導入となった。

 ここでハードスタートの全車がピットイン。他車のピットストップで7位まで上がっていた松下もピットに向かうが、なんとクルーが作業ミスを犯してしまい約10秒のロス。ピットアウトすると13位まで後退してしまっていた。



 さらにソフトタイヤでプッシュするはずだったが、その位置からでは追い上げることもできず、12位でレースを終えることとなってしまった。セーフティカー導入時に目の前を走っていたアルテム・マルケロフが4位でレースを終えたことを考えれば、非常に残念な結果だ。

「本当にすべてが噛み合わなかった2日間でしたけど、クルマの仕上がりは良かったし、マルケロフも遅かったので、最後にソフトタイヤで戦えたはず。今日も普通に走っていれば少なくとも5位か4位は狙えたレースでした」

 タイトル候補の最右翼とみられているガスリーは、レース再開直後にターン10でナトにインを突かれて首位を奪われ、最後はニコラス・ラティフィにも抜かれて3位。同じくタイトル候補のリンも戦略ミスが響いて6位で終わった。GP2は最後まで目が離せない、難しいレースだ。

 それでも松下は自分の速さには、しっかり手応えをつかむことができたようだ。

「ピット作業のミスは仕方ないし、繰り返さないように分析するだけ。自分としてはやれるだけのことはやったので落ち込んではいません。ドライバーとして能力に問題はないし、今年もGP2で戦っていけると思っています」

 日曜の午前に行われる決勝レース2は、12番グリッドからのスタートとなるため厳しい展開が予想されるが、それでも光る走りを見せてもらいたい。