スペインGPに向けて、レッドブルが下したダニール・クビアトとマックス・フェルスタッペンの入れ替えは多くの人々に衝撃を与えた。特にクビアトの地元ロシアでは、レッドブルの決定に批判的な意見が噴出していると、ロシアでテレビのコメンテーターを務めるアレックス・ポポフは言う。
「私のツイッターには約18万人のフォロワーがいて、レッドブルの発表直後は多くのツイートが寄せられた。もちろん、ほとんどが『レッドブルの決定には納得いかない』というものだった」
ファンが納得できないのは当たり前だ。クビアト自身でさえ「本当の理由は、わからない」と語っているのだから。
クビアトに同情しているのはファンだけではなく、今回の決定に首を傾げるドライバーは多い。かつて2013年の1シーズン限りでマクラーレンを離脱することになった、セルジオ・ペレスもそのひとりだ。
「僕も似たような経験をしたから、わかるんだ。何かが悪い方向へ向かうと、過去どんなに良い成績を残していても忘れ去られて、突然みんなが自分から離れていくんだ。僕が思うに、クビアトは少なくとも今年の終わりまでレッドブルでレースする資格はあったと思う」
今回の決定に感情的になる者がいる一方、クビアトに近い人間でも冷静に受け止めている者もいる。ロシア人ジャーナリストのオレグ・カルポフは次のように分析している。
「ロシアGPでのクラッシュが今回の決定の一因になっていると考えている人がいるかもしれないが、レッドブルも否定しているように私もそうとは信じていない。レッドブルはダニール(クビアト)を降格させたかったというより、マックス(フェルスタッペン)を昇格させたかったんだ」
なぜ、このタイミングだったのか。カルポフは「フェルスタッペンがトロロッソにいる間に、他チームと契約してしまう恐れがあったためでは」と推測する。それについてはレッドブルのクリスチャン・ホーナーも認めている。
「今回の決定に際して、フェルスタッペンとの契約内容について変更があったどうかと問われれば、答えはイエスだ。今後、複数年の間マックスはレッドブルとともに仕事する」
ただし、カルポフはクビアトにも再びレッドブルに復帰するチャンスは残されていると語る。
「もしマックスがレッドブルでダニエル・リカルドに歯が立たず、ダニールがトロロッソでサインツに対して“マックス以上の成績”を残せば、可能性はある。だから、今回の決定はショックだったかもしれないけれど、引きずらないことが大切。今年のトロロッソのマシンは、すごくいいからね」