就活解禁時期が混乱する中で、就活生に職場体験をさせる「インターンシップ」を実施する企業が増えている。ただし導入の歴史がまだ浅いこともあり、参加する学生と受け入れる会社との間には意識のズレがあるようだ。
男性向けファッションウェブマガジン「MTRL」の代表取締役である佐野恭平氏が5月11日、「インターンを雇って失敗した話」という記事を投稿した。大学生のインターン生2人を受け入れ、当初は「メディアへの若い意見の反映」「安定志向の社員への刺激」を期待したが、途中から「完全に戦力外」とみなすようになったという。
学生から一向に企画は出ず、会議での発言もなかった
インターン生は佐野氏自らが面談を行い、「『やる気』あるスピーチと成果物」を見て決定した。「ある程度の決裁権は渡そう」「つくりたい企画を作らせてみよう」と、実務を任せようと考え、時給も1000円にした。
そのため「少しくらい生意気な発言があってもいいくらいグイグイした姿勢」を求めたというが、実際は違ったようだ。
「どれだけ現場を経験させても、会議に参加させても、一向に企画は出てこなかった。発言もなかった。出席していても参加していない会議。発言の機会は与え、発言しやすい空気を作り努力はしたけど、ブレストがろくにできたことは一度もない」
佐野氏は彼らのモチベーションを高めるため努力したが、「言葉が響いてない。悔しいという気持ちを持ち合わせていない。向上心も持ち合わせていない」と感じたようだ。心境をこう統括している。
「今回の一件は自分にとっても勉強になった。自分の能力が至らなさと採用能力のなさ。やる気があるように見せかけて口だけの人間が非常に多いということ」
はあちゅうも援護射撃「口先だけ立派な大学生は全員滅びればいい」
佐野氏の主張には、ネットで賛同の声も少なくない。「思ってること代弁してくれてる。口だけの奴らばっかだよホント」「出勤すればいいと思ってる人ホント嫌い」という書き込みのほか、佐野氏の友人であるブロガーのはあちゅう氏もこうコメントしている。
「ほんとはここに書いてある20倍くらい、ありえない行動を取られてるにも関わらず、大人だな、きょーちゃんは…。自分に甘く口先だけ立派な大学生は全員滅びればいいよ」
その一方で「こいつインターンに何を求めてんの?」という疑問の声も相次いでいる。佐野氏がインターンシップの認識を間違えているのでは、との指摘だ。
「インターンって戦力に数えるようなものなのか?一時的な職場体験じゃないの?」
「新入社員でさえしっかり新人研修して社内で教育して数年かけてようやく一人前になるのだから、インターンが即戦力になると思うのは間違い」
「時給1000円に期待しすぎているのがおかしい。報酬額相応にしかアウトプットなんて出ないよ。アホか」
さらに佐野氏は自身のツイッターで、記事を公開した意図を「賛否両論あるのは承知の上」としつつ、「今日のMTRLの記事が弱いからPV補強のために…」と書いたことから、「炎上マーケティングじゃねえか」などといった非難も出ていた。
当のインターン生は「立派な給料泥棒です」とブログで反省
インターンに対する経営者の期待が高すぎたために、バイト感覚の学生との間でズレが出てしまったのだろうか。なお、ブログで批判された当のインターン生は12日、「インターンとして失敗例になってしまった話」という記事を投稿。佐野氏の主張を踏まえて、こう反省の弁を述べている。
「現場を見ているのにもかかわらず発言もしなければ立派な給料泥棒です」
「自発的に動くことができない人間であると痛感しました」
今は撮影の雑務で荷物番をしている間に「記事の1つでも書かなかったのだろう」と考えを巡らせたりしており、「この経験は今後の人生の大きな糧になりました。このタイミングで経験できてよかった!」と語っている。
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