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日独6社が語る『クラス1規定』への意気込み。GT500×DTMのグローバル化は実現するのか

2016年05月12日 14:11  AUTOSPORT web

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スーパーGT第2戦富士のスタートシーン(上)と、DTMドイツツーリングカー選手権第1戦ホッケンハイムのスタートシーン(下)
5月11日、東京都内でスーパーGTをプロモートするGTアソシエイションと、DTMドイツツーリングカー選手権を運営するITR GmbH、そしてGT500に参加するニッサン、レクサス、ホンダの3メーカー、DTMに参戦するアウディ、BMW、メルセデスベンツの3メーカーの代表者が参加し、第5回ステアリング・コミッティを開催したが、この後の記者会見で、各メーカーの担当者が、2019年の導入に向けたGT500とDTMの統一規則『クラス1』規定の実現に向けそれぞれ語った。

◆クラス1規定の統一は、なにを生むのか
 2009年以来、規則統合に向けて話し合いを続けているスーパーGTとDTM、そして日独の6メーカー。11日のステアリング・コミッティでは、2019年の統一に向けて、2017年8月に規則の完成をめざすことが発表された。ファンにとって当然気になるのは、統一がもたらすもの、そして6メーカーが争うシーンを実際に見ることができるのかだろう。

 今回、6メーカーの代表者が規定統一に向けて意見を語ったが、各メーカーの意図する統一への狙いは“グローバル化”、“マーケティング効果”、“コスト削減”といったキーワードに集約することができそうだ。その意図が見え隠れする、各メーカーの代表者たちのコメントをご紹介しよう。

●片桐隆夫(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル社長)
「こうして具体的に将来の方向性を合意することができたのは、両方のレースの価値が上がることもありますし、私たちはニッサンGT-Rを作っている会社として、日本だけでなく世界で戦っていけるのは大事なことだと思います。ぜひこの機会を使って、マーケティングの面でもこのレースを活用していけるようにしたいと思います」

●山本雅史(ホンダ モータースポーツ部長)
「グローバルな視点でモータースポーツを盛り上げていくという意味で、前向きに2019年に向けて取り組みを検討しているという状況です。ドイツメーカーの方もおっしゃっていましたが、やはり規則をひとつにまとめるということにはまだ課題があるとホンダも認識していますし、ホンダも皆さんと同調していくという課題もあります。モータースポーツのグローバル化、技術の発展、ドライバーもグローバルに発信していくという意味で2019年に向けて寄与できるのではないかと思います」

●高橋敬三(トヨタ モータースポーツマーケティング部主査)
「今回の合意の最大のポイントは、今までドイツ、日本、それぞれ3メーカーずつやってきたレースが、6メーカーでの争いになる可能性が出てきたのが大きなポイントだと思います。それによって、ドイツ、日本だけではなく、グローバルに注目されるレースになる。それによって我々のマーケティング効果にも繋がると思っていますので、よりその可能性を現実的なものにしていけたらと思います。また同時に、マーケティング効果を増やすだけでなく、コスト削減という我々メーカーにとって大事な課題も克服していくことができます。マーケティング効果、コスト削減という目標が達成できるクラス1規則を、ぜひ実現できたらと思っています」

◆「6社以外のメーカーも、ぜひこの規定に参入して欲しい」──ディーター・ガス
●ウルリッヒ・フリッツ(メルセデスベンツAMG・DTMチームチーフ)
「この新しいクラス1規則では、とにかく国際的なレースを実現できることが最も大きなメリットだと思う。ツーリングカーレースにとって大きな前進になるはずだ。規則を統一してグローバルなレースを展開できる、しかも少なくとも6社が出場することができるなら、世界的にみてもツーリングカーでは最高レベルのレースを実現することになるだろう。また、確実で安定した方向を打ち出すことができたので、この新規定は実現することができると思うし、コスト削減も実現できるだろう」

●イェンス・マルカルト(BMWモータースポーツ ディレクター)
「皆さんのコメントに同感だ。BMWとしては2012年にDTMに復帰したときのひとつの狙いが、ドイツをはじめヨーロッパのなかで、モータースポーツの舞台で自分たちをアピールをしたかったことだった。そして、最終的にはコスト削減、効率化に繋げることが狙いだったんだ。また、コスト削減は活動の地域を広げることで実現ができる。今回、技術規則の統合化をはかることができれば、間違いなく効率化を実現できるだろう。これはツーリングカーレースだけでなく、すべてのプラットフォームに言えることだ。今後BMWとしては、もっと集中し、積極的に、効率良くメーカー6社が歩調を合わせていくことができれば、もっと大きな成果を生み出すことができると確信している」

●ディーター・ガス(アウディスポーツ DTMチーム代表)
「今回、こうして6社のマニュファクチャラーが同じステージに一緒に登ることができていることが、同じ目標に向かっていることの現れだろう。技術面の統一、国際化、そしてコスト低減という3つの目標をどのメーカーも追求しているということだ。そしてこのクラス1規定の統合により、新しいレースを実現することができれば、これはすなわち6社以外のメーカーに向けた『招待状』でもあると考えている。これほどのグローバルな魅力を備えるレースならば、グローバルな体制を備えるメーカーならば喜んで参入してくれるだろうと考えている。他のマニュファクチャラーにもぜひこの取り組みに参入してもらいたい」