スーパーGTをプロモートするGTアソシエイションと、DTMドイツツーリングカー選手権を運営するITR GmbHは5月11日、両シリーズに参戦する日独の6メーカーの代表とともに、東京都渋谷区のウェスティンホテル東京で、第5回ステアリング・コミッティを開催し、2017年8月をめどに『クラス1』規定の完成を目指すと発表した。
2009年のスーパーGT最終戦もてぎに、DTMの代表団が訪れてからスタートしたスーパーGT500クラスとDTMとの統一規則制定。これまでさまざまな紆余曲折を経て、2012年からDTMで統一規則を盛り込んだマシンが登場。14年からはスーパーGTでも統一規則を採用した車両が登場し、『EVパーツ』と呼ばれる共通部品を使用したマシンがそれぞれのシリーズを戦いはじめた。
ただセミ耐久で、給油とタイヤコンペティションがあるGT500と、スプリントでタイヤワンメイクのDTM、また2リッター直4ターボのGT500、4リッターV8エンジンを使用するDTMと異なる部分もあり、これまでも両シリーズの交流戦等の話は出ながらも、なかなか両シリーズのマシンがともに走るシーンは実現には至らなかった。
そんななか開催された第5回ステアリング・コミッティは、GTアソシエイション坂東正明代表、ITRのハンス-ベルナー・アウフレヒト代表、さらに日本メーカーからはニスモ片桐隆夫社長、トヨタ高橋敬三モータースポーツマーケティング部主査、ホンダの山本雅史モータースポーツ部長、さらにドイツからはメルセデスベンツのウルリッヒ・フリッツ、BMWモータースポーツのイェンス・マルカルト、アウディスポーツのディーター・ガスという、各メーカーの活動を担う代表が顔を揃えた。
今回これらのメーカー、GTA、ITR、そしてJAFを交えて合意、調印された内容は、統一規則である『クラス1規定』について、2017年8月をめどに完成を目指し、9月に公表することでSGT、DTM、日独の6メーカーが合意したというものだ。
「クラス1規定の導入について、『レースフォーマットの異なりを尊重しながら、可能な限り両シリーズの技術規則を統一していく』ことを確認し、このクラス1規則の共通仕様の目的のひとつに『日本・ドイツのメーカー/チームが一緒に走行する機会、ワールドファイナルの実現』を挙げていきます」と坂東代表はステアリング・コミッティ後開催された記者会見で語った。
「このクラス1規則の目的は、『コスト削減課題についてより一層焦点を当てる』こと、『マニュファクチャラーのマーケティング活動の地理的拡大』であることも確認しています。コストについては、具体的には2019年に向け、今の60品目を超える共通部品に加え、アップライトや現在は図面が統一されているだけの空力部品、フロントディフューザー、アンダーフロア、リヤディフューザーも共通化し、共通部品の一層の拡大を実現する予定です」
また、ITRのアウフレヒト代表は、「今後の大きな目標として、モータースポーツに必要な予算を継続的に削減し、マーケティング活動の地理的拡大という目標にさらに近づくことができたと確信している。今後もさらにファンを魅了するレースができると確信している」と語った。
この17年9月発表の新クラス1規定が発効すれば、両者の技術規定はさらに接近することになり、坂東代表が語る『世界統一戦』、さらに日独メーカーの両シリーズへの参加も具体的になりはじめるのかもしれない。各メーカーの代表者とも、6メーカーが統一されたルールのもとで戦うことについて「活用していきたい」という意向を示している。
なお、今回クラス1規定に名を連ねているアメリカのIMSAの代表者は、都合により欠席となっている。ITR、各メーカーとも北米は重要なマーケットとしており、17年発効のクラス1規定は、日独間で合意の後、そのまま北米で活用されていく形となりそうだ。