2017年の新規則下のF1マシンは、速くはなってもオーバーテイクがより困難になると危惧する声が多いが、マクラーレンのレーシングディレクター、エリック・ブーリエはその意見に反論した。
F1はより速くアグレッシブなルックスを目指し、来年はよりワイドなタイヤを導入、ダウンフォースを増大させることで合意している。
■“オーバーテイク減少”懸念派の意見
しかしダウンフォースを増やすことにより、前のマシンに近づくのが難しくなり、結果的にオーバーテイクが困難になると、ニコ・ロズベルグやルイス・ハミルトンら複数のドライバーたちが主張している。
「2017年には(規則変更によって)バトルがしやすくなるべきなのに、そうはならないと思う。ダウンフォースに妨げられるのは明らかだ」とロズベルグは述べ、大勢のドライバーたちが同意見だと明かしている。
メルセデス・モータースポーツのボス、トト・ウォルフもオーバーテイク減少を懸念しているひとりで、その根拠について次のように語っている。
「マシンはかなり幅広くなる。私がディフューザーに隠れることができるぐらいだ。ダウンフォースはかなり増大し、それによってコーナーではかなり速くなるだろう」とウォルフ。
「しかし残念ながらマシン後方の気流が乱れるため、今年以上に問題が大きくなるだろう」
「(前のマシンに)近づいた瞬間にダウンフォースを失う。タイヤが滑り始めて傷み、オーバーテイクできなくなる」
■「オーバーテイクは増える」とブーリエは主張
ブーリエは、より速いマシンを導入しようとしている方向性は正しいとして、来季新規則を肯定的にとらえている。
「今のマシンは数年前より遅いと思う。F1にはドライバーたちが走っていて興奮できるような要素がある方がいい。今はその部分が少し欠けているかもしれない」とブーリエ。
「ファンには違いが分からなくても、ドライバーはグリップが高く、速いマシンに乗るのが好きなんだ」
新規定により、オーバーテイクはむしろしやすくなるはずだと、ブーリエは考えている。
「他チームの人々が述べたと報じられているコメントには賛成できない」とブーリエは言う。
「レギュレーションは、マシンがより大きなダウンフォースとメカニカル(グリップ)を発生させるように起草された。つまりオーバーテイクの数が減ることはないはずだ」
「さらに、フロアとディフューザーよりも、フロントウイングの影響力は小さくなる。後方でより大きなダウンフォースが生み出されるのだ」
「通常、そうなればもっとオーバーテイクをしやすくなるはずだ」