IT業界では「エンジニア35歳限界説」が長年囁かれている。30代半ばを過ぎると技術の進歩に付いていくことが体力的に難しくなるので、一線を退いてマネジメントに回るしかない、という考え方だ。
そのため、ある程度の年齢になると、今後のキャリアを考えてしまう人も多いようだが、そうした悩めるエンジニアに向けたブログ記事が話題になっている。はてなブログの「かっぱラクガキ帳」に5月10日に掲載されたものだ。
心身ともに健康なら35歳超えても「なんとかなる可能性があります」
記事のタイトルは「キャリアが気になる、35歳以降が気になるエンジニアのみなさんに43歳現役エンジニアからたったひとつのアドバイス」。自己研鑽の重要性でも語るのかと思いきや、筆者のkwappaさんは後輩エンジニアにこんなメッセージを贈っている。
「健康は命より大事。repeat after me.『健康は命より大事。』」
ここでいう「健康」は身体面だけではなく、精神面での健康も含まれる。エンジニアは心身ともに健康であれば、35歳を超えても「なんとかなる可能性があります」というのだ。
その上で、心身どちらかに不調があると、戦う前から打ちのめされた気分になるので、まずは健康に有害なものから「少しずつ距離を取ることを考えてみましょう」と推奨。健康であれば新しい技術も前向きな気持ちで勉強でき、それがさらなるキャリアの発展につながるということだ。
何事も身体が資本というのは当たり前の話ではあるが、この投稿がはてな界隈で話題に。「ほんまこれ」「本当にそうです。心身が健康なら何でもどうとでもなるのです」といったコメントのほか、筆者の同世代のエンジニアも「1973年組としては身にしみる話やでホンマ。いのちだいじに」と激しく賛同していた。
エンジニアの5人に1人が精神に不調を抱えた経験があり
実際、エンジニアは心身を壊しやすい。仕事中は基本的にデスクの前で座りっぱなし。納期前になるとデスマーチで長時間労働と、身体に負担がかかることだらけだ。35歳という年齢も、それまでの無理が祟ってあちこちガタが来るころだ。
ITproが2010年にITパーソンを対象に実施した調査によると、心の病と診断されたことがある割合が最も高い職種はプログラマーで21.3%。次がSEで18.6%となっている。エンジニアの実に5人に1人が精神的に不調を抱えた経験があることになり、予備軍も含めると相当数いるということだろう。
はてなブックマークでは冒頭の記事に対し、著名ユーザーから「運動と瞑想の習慣が無ければ死ぬと言う事だよ。当たり前の話」といったコメントも寄せられていた。30代のエンジニアは、まずは自分の生活習慣を見なおしてみることが肝要のようだ。