少し前、はてな匿名ダイアリーに「保育園落ちた日本死ね」という投稿がなされ、これが国会でも取り上げられた。「遅かれ早かれ、この投稿はパロディにされるだろうな」と予感していたら、本当にパロディになっていた。今度は「就活落ちた日本死ね」である。5月頭に投稿されたものだ。
冒頭では以前投話題になったものと同じように、「何なんだよ日本。一億総活躍社会じゃねえのかよ。見事に面接10連敗だわ。どうすんだよ俺活躍出来ねえじゃねえか」という書き出しになっていて、不謹慎だけどちょっと面白い。(文:松本ミゾレ)
「就活=嘘つき合戦 こんなことやってる国が経済発展なんて無理でしょ」
元の「保育園落ちた日本死ね」を巧妙にリスペクトしつつ、随所に投稿者の就活苦労話が盛り込まれているのが特徴だ。2017年度卒の就職活動期間は、3月に広報活動が解禁となり、選考開始は6月となった。そのため、
「たった3ヶ月で自分の働く企業を選べなんて無理があるのに、情報解禁とほぼ同時に選考始められたらどうすりゃいいんだよ。説明会と選考の日程が被りまくって、会社を見て回る時間なんて全く無えわ」
と嘆く。さらに「就活=嘘つき合戦 こんなことやってる国が経済発展なんて無理でしょ。日本なんてさっさと沈め死ね」と憤っている。読んでいると「本気で鬱憤が溜まっていたんだろうな」と、つい同情してしまう。
しかし、いくら第三者が同情をしたところで、内定がもらえるわけではない。当人が欲しているのは同情ではなく、就職活動の成功でしかない。これが10連続で失敗しているとなると、目に付くもの全てに牙を剥きたくなるのも、これはしょうがないことだろう。
「今までの努力は何だったんだよ。ついでにリア充も死ね」
「就活に関する不満を言うと、どこからともなく起業家やフリーライターが沸いてきて、『正社員以外にも生き方なんていくらでもある』みたいな有難い有難いご高説を唱え始めますよね。(中略)就活生にアドバイスするフリして、自分の成功ひけらかしてんじゃねえよ死ね」
と、このようにもはや就職活動に直接関係ない人々にまで噛み付いてしまっている。僕もフリーライター。正直とばっちりを受けたような気分だけども、こう、なんというか、僕自身も就職活動で嫌な目に遭っただけに、この投稿者を嫌いにはなれない。
また、投稿者はかなりの努力家のようで、良い大学に行けば人生上手く行くと教えられ、死ぬほど勉強をして、実際に良い大学に入ったという。しかし、就活ではその努力がなかなか認められないようだ。
「いざ就活始めてみると、企業が欲しがるのは、遊び続けてきたリア充じゃねえか。今までの努力は何だったんだよ死ね。ついでにリア充も死ね」
勉強と遊びを両立していた人材に追い抜かされていく様子が悔しいようだ。文末では、一生働くかもしれない就職先を数か月で選ぶことの是非にも疑問を投げかけている。それはある意味では指摘している通りだろう。
しかし結局のところ、学歴十分でも起こりうるのが就活上での不平等なんだろう。「日本死ね」なんて言うけど、みんながみんな成功する国なんてどこにもないし、難しいところではある。