IT人材不足が叫ばれている昨今だが、政府は人手を外国人技術者で補う方針であるようだ。安倍晋三首相は5月4日(現地時間)、訪問先のベルギーのブリュッセルで「2020年までに、外国人IT人材を3万人から6万人に倍増することを目指す」と表明した。
「奴隷賃金でIT技術者雇うとか無理だろ待遇のいい国沢山あると思うんだけど」
実際に日本のIT技術者不足は深刻な状況に陥っている。独立行政法人情報処理推進機構が4月に発表した「IT人材白書2016」によれば、2011年以降IT人材の不足感が高まり続けているという。2015年の調査では人材が「不足している」と答えたIT企業が91.2%に上っている。
また、dodaが4月11日に公表した「転職求人倍率レポート―2016年3月―」を見ても、最も求人倍率が高い業種は「IT/通信」で2.79倍となっており、かなり需要が高い。背景にはスマートフォンの普及や、マイナンバー制度に伴うシステム開発があるのだろう。
外国人技術者にその不足分を補ってもらえるのであれば、理想的に思える。だが、ネットでは、「まともな外国人IT労働者は日本なんて選ばんよ」といった厳しい意見が相次いだ。
「世界のIT業界で働けるような頭を持ってるやつが日本にIT土方をしに来るとは思えないんだがw」 「奴隷賃金でIT技術者雇うとか無理だろ待遇のいい国沢山あると思うんだけど」
「IT技術者が低賃金の日本に来るわけないだろ」
残念すぎる日本のIT業界の労働環境「手取り17万ほどしかないんだが」
「労働環境良くしなきゃ外国のIT技術者は来ない」という指摘も相次いでいた。たとえば、SE・プログラマの場合、dodaの「平均年収ランキング2015」を見ると年収は468万円。ここだけを見ると極端に少ないとは言えないが、ネットには悲惨な報告もあがっている。
「IT土方やってるけど手取り17万程しかないんだが」
「同じくらい(手取り17万)で、しかも30時間みなし残業。あほらしいから先月やめた」
IT業界では、大手ベンダーならまだしも、下請けや孫請けになるとかなり条件が悪くなることが珍しくない。また、給与以外にも問題はあるようだ。dodaの「仕事満足度ランキング2015」を見ると、仕事の満足度の平均が63.8点のところ、SE・プログラマは57.3点で100職種中90位。仕事内容での満足度は95位となっている。
そういった労働環境であるためか、まず日本人のIT技術者の待遇を変えるべきではという声があがっていた。
「日本人の待遇改善するだけで6万人くらいあっという間に増えるだろうし 待遇改善しないなら外国人だって雇えない」
「なぜ日本人のIT技術者の所得を向上しようと思わないのか?」
外国人技術者がやってくることで、さらに仕事の単価が下がってしまうのではと危惧する人もいた。少子化の進む日本で、外国人の労働者を呼び込むように政府が舵を取るのは最もかもしれないがそもそもの労働環境を整えることを怠ってはいけないだろう。
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