5月9日、台湾第二の都市である高雄の郊外にオープンしたショッピングモール、『大魯閣草衙道(タロコパーク・カオシュン)』の併設施設『鈴鹿サーキットパーク』がグランドオープンした。
●3年の月日を経て生まれた、台湾の“ミニ鈴鹿”
台湾の大魯閣株式会社と、鈴鹿サーキットとの間で、『鈴鹿サーキット』の名を冠したショッピングモールとアミューズメントエリアを併設した複合施設を建設するという合意がなされたのが2013年春。そこから3年の歳月を経て、ついに『鈴鹿サーキットパーク』がグランドオープンすることになった。
このタロコパーク・カオシュンは、高雄国際空港からMRT(地下鉄)でひと駅、高雄駅からも7駅という絶好のロケーションに建設された大型ショッピングモール。世界各国のブランドショップはもちろん、日本料理のレストランも非常に多く入っている。そんなモールを抜けた先に設けられた施設が、鈴鹿サーキットパークだ。F1をはじめ、世界的に著名なレーシングコースである鈴鹿のノウハウを、そのまま“輸出”する新しい試みとなる。
●最先端の安全技術満載のコースに、日本のノウハウを
メインとなるのは、『ミニ鈴鹿サーキット』と名付けられたカートコースだ。特徴的な鈴鹿サーキットのレイアウトをそのまま模したようなコースレイアウトとなっており、S字からデグナー~立体交差~ヘアピン、スプーンといった鈴鹿ならではのコーナーが再現されている。もちろん完全に鈴鹿のまま……ではないが、鈴鹿らしさを大いに楽しむことができる。
使用されるカートは、日本のレンタルカート等でもおなじみのビレルN35や、親子で乗ることができるタンデムカートやキッズカート等、ショッピングで訪れた家族連れがそのまま楽しむことができるラインアップ。カートのメンテナンス等は現地のスタッフが行うことになるが、日本人スタッフが加わっており、ノウハウを伝えるシーンを見ることができた。
また、単純に鈴鹿サーキットのレイアウトやカートのノウハウを受け入れているだけではなく、最新の設備が設けられているのが特徴的。F1ではおなじみのLEDを使ったコーションフラッグが採用されていたり、コース内でスピン等があり、イエローコーションが出された場合、自動的に他の走行車両にリミッターがかかるなど、日本のコース顔負けの設備が整えられている。
●“モビリティの文化”をそのまま輸出
また、サーキットとショッピングモールの間には、実際の鈴鹿サーキットと同様に、遊園地が設けられている。鈴鹿サーキットのコースとほぼ同じ位置に観覧車があったり、鈴鹿でも見られるような遊戯施設が数多く設置されている。
鈴鹿サーキットの遊園地の理念は、「人と車の理想郷を提案」し、「モビリティの文化を創造」することにある。鈴鹿サーキットパークに設置された遊戯施設も、すべてが子どもたちに「自然にクルマや乗り物に親しんでもらう」ためのものであり、台湾に新たなクルマ文化を伝えていく場になりそうだ。
これらの施設の運営は、日本人スタッフが駐在しノウハウを伝えながら、鈴鹿サーキットと色違いのユニフォームを着た現地スタッフたちが携わっていくことになる。
●日台友好の新たな“絆”に
そんな鈴鹿サーキットパークは5月9日、タロコパーク・カオシュンとともにセレモニーが行われ、正式にオープンした。モビリティランドの曽田浩社長も現地を訪れたほか、先日の熊本地震の際には自らの給与1ヶ月分を寄付して話題になった陳菊高雄市長など、政治家も多数訪れた。
「タロコパークに設けられる『鈴鹿サーキットパーク』は、私たちの50年以上にわたるノウハウとコンセプトが詰まった、まさにモビリティパークと呼べる施設です」と曽田社長はあいさつした。
「日本の鈴鹿サーキットを超える『喜び、楽しさ、感動』をここ高雄の鈴鹿サーキットパークでお客様に提供できるよう、日々努力を重ねてきました。台湾と日本の『絆』がますます強固なものになりますことを願っています」
近年、台湾と日本はモータースポーツを通じた交流が非常に盛んになりつつあり、2016年はスーパー耐久にも台湾チームが出場するなど、日本のモータースポーツ文化を吸収しつづけている。今回誕生した鈴鹿サーキットパークは、その流れを加速させていくものになりそうだ。