今や完全に匿名でインターネットをすることが難しくなっている。本名も仕事も特定できないようなSNSアカウントを使っていても、日々の投稿に仕事の内容を匂わせていたり、たまにアップする写真で顔や住居についてのヒントを漂わせていると、そのヒントを使われて、個人を特定されてしまうリスクがある。
実際、こういう手口でストーキングを行う悪質なネットユーザーの存在は、たまにニュースなどでも取り上げられるようになった。そんな中、フェイスブックを使った婚活アプリ「マッチアラーム」を運営しているマッチアラーム社が、4月に面白い調査結果をリリースしている。
「SNSに恋人の写真は載せますか?」と題されたアンケートで、20代、30代の独身男女835人にSNSの使い方を聞いている。(文:松本ミゾレ)
若くなればなるほど「載せる」が増加する傾向
プライバシー設定をいじっていない場合、SNSに投稿する文字や画像といった情報は、世界中全てのネットユーザーが閲覧できる。また、プライバシー設定をしていたとしても、その狭い輪の中で信頼している「ネットの友人」に、100%悪意がないとは断言できない。身内だけに公開する設定でアップした情報が、妬まれて拡散されてしまうリスクはある。
こう考えると、SNSで自分はおろか、恋人の写真をアップするなんてのはまさに暴挙と言っていいだろう。アンケートでは、男性の77.9%が。女性では81.8%が恋人の写真を「載せない」と回答している。これは当然の考えだ。
だけど一方で、男性の22.1%。女性の18.2%は「載せる」と答えている。これ、結構怖い結果になっている。脇が甘いような気がする。
さらに、この回答結果を年代別に詳しく見ていくと、同じ20代でも、25~29歳の男性では、「載せる」は24.1%となっている。これでも十分多く感じられるが、20~24歳では33.9%が「載せる」と答えている。
「相手に安心してもらえそうだから載せる」という人も
女性も同じ傾向が見て取れる。25~29歳の女性のでは19.4%が「載せる」と回答をしているのに対し、20~24歳では「載せる」は27.6%という回答結果に。30代以降は男女それぞれに「載せる」という回答は少なくなっている。若い世代ほど、恋人の写真をSNSにアップすることに抵抗を感じない人が多いようだ。
「載せる」と回答した男女の回答をいくつか紹介したい。
「思い出として残したいから」(男性・20代半ば)
「その日の思い出を残しておきたいから」(女性・30代前半)
「特にこだわりはなく、載せなくてもいいくらいの感覚」(男性・20代半ば)
しかし、こう言ってはなんだけど、思い出に残したいなら写真は大事に保存すればいいし、載せなくていいなら、載せなきゃいいと感じる。ほかには「オープンなつき合いしかしてないから」「相手に安心してもらえそうだから」といったコメントがあった。
みんながみんな「素敵なカップル」と思うわけではない
そもそもネットにアップした情報は、一旦拡散されれば、もう回収は不可能に近い。また、恋人の写真をアップすることで、仮に恋人の写真が敵意のある何者かに悪用されてしまえば、その責任は当然自分が負うこととなる。
私たちはスマホやパソコンなどを通じて、あまりに身近にインターネットの恩恵を受けてきたため無条件に安心して使いすぎていやしないだろうか。実際にはSNSは使い道を間違えれば自分の本名や所在なんかがあっという間に拡散される、恐ろしいツールだ。
SNSに自慢の恋人の画像をアップして、100人が100人とも「素敵なカップルだなあ」なんて思うわけがないのだ。むしろ過半数は「なんだこいつ、自慢か?」と思うものと考えておくぐらい臆病でないと、インターネットを扱うのは怖いように思える。
ネット上には、気軽にアップした個人情報やちょっとした自慢が仇となって、匿名の悪意に晒された人々の屍が累積していることを、普段から意識しておきたい……。
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