最近、私の周りで「雨と雲と霧の違いを説明してください」という質問がよく話題にあがります。就活生が自己PRや志望動機などを事前準備してくることに合わせ、想定外の対応の仕方を知るのが目的と言われています。
就活生からすると「そんな面接手法まであるのか!?」と驚く人もいるかもしれませんが、google検索をするとこの手法を実施している具体的な企業名も出てきます。キャリコネなどの口コミサイトにも体験談が書かれているくらいなので、すでに知っている人もいるかもしれません。(文:河合浩司)
正解は「分かりません」。無理に答えると不合格
この手法を長年使っている人事から聞いた裏話によると、問いかけられた就活生は戸惑いながら「雨は〇〇で、雲は△△で、霧は□□だと思います」などと必死で答えるそうです。
しかしこれは「3つをそれぞれ説明しただけ」。3つの違いを説明したことにならないから、不合格と判断されてしまいます。正解は「3つの違いを同時に説明することは不可能」なので、頑張って答えた就活生は基本的に不合格にするというのです。
説明が不可能なものを答えるのは「いい加減な答えを言う人材」。合格にするのは「分かりません」と答える学生だけなのだと明かしてくれました。
面接という答えを強いる特殊な環境下に、社会経験が少ない就活生を招いておきながら、誰にも説明ができないことを「説明せよ」という無茶な指示をする選考方法だったのです。これは以前に記事で紹介した「預けた100万円を必ず2倍に」と同じ類と言えるでしょう。
しかしこんな罠のような手法で本当に良い採用ができるのかどうかは、怪しいものがあると言わざるをえません。この程度のことで人を判断するなど、あまりに浅はかです。ただ、この手の面接方法を盲信する採用担当者が存在するのも残念ながら事実なのです。
対策を講ずるべきか、そんな会社は見放すべきか
ただし見方によっては、この手の採用担当者は攻略しやすいのかもしれません。基本的には正解がない面接の世界ですが、この手の質問や指示には「分かりません」「できません」という唯一の正解が存在します。
そして正解は、一度ネットに流れてしまえば誰でも知ることができます。今やネットの扱い方は学生たちの方が採用担当者よりも詳しいことも少なくありません。選考で、
「これは一体、何を意図した質問なのだろうか?」
と気になったときは、ぜひとも調べてみてください。あっさりと「正解」が見つかるかもしれません。もっとも、面接の最中に調べるわけにもいかないのですが……。そんな選考をする企業には早々に見切りをつけていいのかもしれませんね。
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