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WECトヨタ密着:「レースは予選ほど差がない」と可夢偉。一貴も「いいカードを揃えている」

2016年05月07日 15:11  AUTOSPORT web

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小林可夢偉(トヨタTS050ハイブリッド)
レースウィークに入ってから、1滴も雨が降っていないベルギー、スパ・フランコルシャン。予選日となった5月6日(金)も、カラッと晴れて、日なたでは汗ばむような一日となった。そのコンディションの下、午前11時10分から、1時間のフリープラクティス3回目が行われ、午後4時過ぎからは予選が行われた。

 LMPクラスの予選が開始されたのは、午後4時40分から。途中、赤旗が出される場面もあったが、その影響を受けることなくブッちぎりのタイムでPPを奪ったのは、ポルシェ1号車。これにポルシェ2号車が続きフロントロウを独占した。この2台に続いたのは、僅差の争いを見せたトヨタとアウディ。小林可夢偉がLMP1-Hクラスで初めてのタイムアタックを担当したトヨタ6号車が3番手。初日、トラブルのためにフリー走行2回目をキャンセルしたアウディ8号車が4番手、中嶋一貴が2番目のアタッカーとして乗り込んだトヨタ5号車が5番手、今ひとつクルマの感触が良くなかったというアウディ7号車が6番手となっている。

 気温22度、路面温度42度と、予想以上に暑いコンディションとなった予選。ピット出口がオープンされると、可夢偉が乗り込んだトヨタ6号車を先頭に、各車がコースへと入って行く。LMP1-Hで初のタイムアタックを行った可夢偉は、「2周ともトラフィックに引っ掛かってしまったので、満足なアタックではなかったんです。でも、ローフューエルで今まで余りこういうアタックをしたことがなかったことを考えれば、それなりにまとめられたと思いますね。朝(フリー走行3回目)も、ニュータイヤは使いましたけど、ここまてローフューエルではなかったので。でも、クルマ自体は朝から良くなっていて、その感触で行けました」ということで、1分57秒778をマーク。
 この可夢偉の走行の終わり頃、セッションは赤旗によって中断される。バイコレス4号車の左リヤカウルが一部破損。そのデブリがオー・ルージュのコース上に脱落したためだ。その赤旗の間に、6号車はピットに戻り、ドライバーをステファン・サラザンに交代。サラザンは、アタック3周目に1分57秒619と可夢偉をわずかに上回るタイムをマークし、平均タイムで3番手に浮上した。

 しかし、赤旗中に減速が充分でなかったという理由で、多くのドライバーに対して『審議中』の表示が出される。ここに可夢偉も含まれていたため、サラザンのアタックが終わると、6号車は再びドライバーを交代。もし自己ベストタイム抹消ということになってもポジションを失わないよう、可夢偉を再び送り出した。結局、審議の結果、どのドライバーもタイムの抹消はなく、6号車の3番手もそのまま決定。決勝では2列目からスタートすることになった。

「ポルシェは去年54秒台だったところ、今年は55秒台で、予選のタイムは遅くなっていますよね。その点、僕らはそれほど変わっていない。もちろん、もっと行きたい気持ちはありますけどね。でも、このレースは決勝ペースがメインですし、それに関しては予選ほど差がないので、レースは楽しみですね。シルバーストンからここに来て、コンディションが変わっていますが、その中で自分たちがどの位置にいるのかっていうのを見たい。それが一番重要だと思っています」と可夢偉は決勝に向けての意気込みを語った。

 一方、6号車に対して平均タイムで約100分の6秒の僅差で5番手となったのが、トヨタ5号車。こちらは、アンソニー・デイビッドソン、中嶋一貴がアタッカーを務めている。デイビッドソンはアタックを終えるとすぐにピットイン。開始から8分ほどで一貴にバトンタッチしたが、一貴がコースに出て間もなく赤旗が提示される。セッション再開後に、一貴はアタックに入り、1分57秒579とトヨタのアタッカーの中では最速タイムをマーク。それでも、平均タイムで僚友にはわずかに及ばなかった。

「アウトラップで赤旗が出た分、ちょっと無駄にはなりましたけど、その後のアタックはクリアでしたし、クルマのフィーリングも決して悪くはなかったですね。多少、6号車とバランスの違いがあったので、そこが(タイム差に)影響したかも知れません。ただ、予選でのポルシェとの差は見えませんね(苦笑)。それに、アウディがまた速かった。(三味線?)かも知れませんね。ただ、レースはもっと接近戦になることを期待しています。僕らはレースに向けて、いいカードを揃えていると思いますし、楽しみですよ」。一貴はそう語ると、不敵な笑みを見せた。