毎朝の通勤で感じる一番のストレスは、満員電車だろう。座れないだけならまだしも、立っている場所すらなく、たくさんの人の中で移動に耐えるのは苦痛以外の何物でもない。首都圏の路線はどれも混雑しているが、中でも神奈川方面からの通勤客でひしめく小田急線の混雑は有名だ。
だが、そんな状況も変わる可能性がある。小田急電鉄は4月28日、朝のピーク時の運行本数を2018年3月から3割増やすと発表した。
ギュウギュウ詰め状態から、新聞や雑誌が楽に読めるくらいになる
東北沢~和泉多摩川間でかねてより進めてきた複々線化事業が2018年3月に完成するのを受けてのもの。複々線化とは、わかりやすく言うと片側2車線の道路のようなイメージだ。
同じ方面の線路が2つあるため、各駅停車と急行が並走できるようになる。前を走る電車に影響されることなく走行が可能になるので、一度に同じ方向に電車を運行できるようになる。
発表によれば複々線化によって、平日ピーク時の運行本数が現行の27本から36本に約3割増加される。ラッシュ時に多く電車が来るのは嬉しい。
運行本数の増加に伴って、混雑率も低減すされる見込みだ。世田谷代田~下北沢間の小田急線の現在の平均混雑率は189%で、「体が触れ合い、やや圧迫感がある」というまさにギュウギュウ詰めの状態。これが複々線化によって160%程度にまで低減されるというのだ。
160%になると、「新聞・雑誌を楽な姿勢で読むことができる」状態となるため、スペースに少しゆとりが生まれる。これなら通勤時のストレスは軽くなりそうだ。
また小田急線は代々木上原駅から東京メトロ千代田線に乗り入れているが、こちらも2018年3月以降は、ピーク時の直通電車が現行5本から12本に増える見込みで、新宿だけでなく表参道や霞が関方面へのアクセスがよくなる。
「京王線も小田急に倣って複々線化しろよ」という声も
現在の小田急線の混雑は殺人的だ。国土交通省が2014年に発表した「東京圏における主要区間の混雑率」によると、小田急線のピーク時の混雑率は5位(世田谷代田~下北沢間)。筆者はかつて海老名駅から新宿駅まで小田急線を使っていたが、立つ場所もないくらい混雑していて、人の多さに具合が悪くなったこともある。
新百合ヶ丘から下北沢まで全く止まらない「快速急行」は特に悲惨で、ダイヤが乱れた日には何十分も車両に閉じ込められることになる。密閉空間で気分が悪くなる人が続出し、さらに電車が遅れるまでが大体セットだ。
そのため今回の発表を受けて小田急線ユーザーからは歓喜の声が挙がった。
「小田急線、あの混雑にうんざりして避けてたんですが複々線化で解消されるんなら引越し先に検討しても良さそうですね。」
「小田急悲願の複々線化がやっと完成するのか…」
複々線化は、小田急線ユーザーにとって長い間待ち望まれていたことのようだ。
一方、快適になっていく小田急線を傍目に、面白くないのは他線ユーザーだ。
「てか、京王線も複々線にしよ 小田急線に習って」
「とりあえず田園都市線は複々線化しろ」
などと、京王線や田園都市線ユーザーから複々線化をうらやむツイートが出ていた。
小田急線の近くを走る田園都市線は池尻大橋~渋谷間で平均混雑率が6位、京王線は下高井戸~明大前間の平均混雑率は11位であり、どちらも混雑率が高い路線だ。混雑は誰しも嫌なもの。他の路線で混雑が解消されるというニュースを聞けば、うらやましくなる気持ちはわからなくもない。
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