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Base Ball Bear、初の3人体制で迎えた恒例日比谷ライブで「まだやりたいことがある」

2016年05月06日 17:01  リアルサウンド

リアルサウンド

Base Ball Bear『日比谷ノンフィクションⅤ~LIVE BY THE C2~』(撮影=緒車寿一)

 Base Ball Bearが4月30日、日比谷野外大音楽堂で『日比谷ノンフィクションⅤ~LIVE BY THE C2~』を開催した。


(参考:Base Ball Bear『日比谷ノンフィクションⅤ~LIVE BY THE C2~』ライブ写真はこちら


 本公演は、Base Ball Bearがデビュー10周年と結成15周年の節目に行った2016年春ツアー『LIVE BY THE C2』のファイナル公演。また、恒例となっている“ノンフィクションシリーズ”の5回目で、昨年に引き続き開催された。3月2日に湯浅将平(Gt)が脱退するという発表があり、同公演はツアーでもサポートを務めていたフルカワユタカ(ex.DOPING PANDA)に加え、石毛輝(lovefilm/the telephones)、田渕ひさ子(toddle/LAMA)、ハヤシ(POLYSICS)がギタリストとしてゲスト出演した。


 冒頭、フルカワユタカ(ex.DOPING PANDA)とともにBase Ball Bearが登場すると、観客は立ち上がって拍手で迎えた。最初の1音が鳴り響くと同時に、白い光がステージに差すと「シリーズ “三十一”」と題してリリースしたエクストリーム・シングルより「『それって、for 誰?』part.1」、「不思議な夜」の2曲を演奏した。小出祐介(Vo/Gt)が鋭利なギターのカッティングを披露した「曖してる」では、まだ陽の残る野外音楽堂のフロアを沸かした。


 最初のMCで小出は、湯浅の脱退について報告。「これからもBase Ball Bear、3人のバンドとして頑張っていくので、ぜひ引き続き宜しくお願い致します」と述べると、会場からは温かい拍手が寄せられた。フルカワユタカの挨拶が終わり、登場した次なるギタリストは田渕ひさ子(toddle/LAMA)。小出はナンバーガールへの憧れを語った後、「レコーディングの時に田渕さんの音色を頭に浮かべながら作った曲を」と紹介し、「こぼさないでShadow」を披露した。


 立て続けに2015年リリースの最新曲を演奏した後、「short hair」のイントロが始まった瞬間、大きな歓声が上がった。小出の芯のある歌声にサビで重なる関根史織(Ba)のコーラスが会場中に響き渡る。間奏では田渕がかき鳴らすギターに真剣に耳を傾ける観客の姿も。また「PERFECT BLUE」では、演奏が進むに連れ、会場の雰囲気もどんどん明るくなっていった。


 ドラムのカウントが続いたまま、ギターのバトンは田渕からハヤシヒロユキ(POLYSICS)へ。「ぼくらのfrai awei」「UNDER THE STAR LIGHT」とハヤシの雰囲気に合った楽曲でギタープレイを披露した。MCでは、小出がハヤシとの共演回数が少ないことに触れ「この状態(ステージに上がって)で話すのも初めてなんですけど、(バイザーの)上からチラっと見て話してるんです」とハヤシのトレードマークであるバイザーが実は見えていないことをいじり出す場面も。その後「どうしよう」を演奏し終えたハヤシは、小出から本日のステージではNGとされていた「トイス!」の掛け声でステージを後にした。


 最後に登場したのは石毛輝(lovefilm/the telephones)。小出が、2月末のチャットモンチー主催『こなそんフェス』で急きょサポートを務めてもらったことへの感謝を述べると、手拍子に乗せた「17才」の演奏からBase Ball Bearの定番曲が次々と披露された。「changes」で小出と石毛によるギター・セッションが始まり、「十字架 You and I」では石毛がウォーキングや側転などのパフォーマンスを披露、最後にはハヤシと同様に自らのバンドの合言葉である「DISCO!」を叫んで会場を沸かせた。


 ライブ終盤、再びフルカワユタカが登場し、バラード調の楽曲「ホーリーロンリーマウンテン」を披露した後は、堀之内大介(Dr)の掛け声を合図に、勢いよく「真夏の条件」、「LOVE MATHEMATICS」を続けて披露した。


 そして本編ラスト、それまで淡々とライブを行ってきた小出が、胸の内を明かすように「Base Ball Bearどうする?ってなった時に、『まだやりたい、やることがある。作りたいし、まだなにかある気がする』って共通の意識だった。今までの自分たちが出来なかったようなことをやってみようと思って。やってみて、3人でもちゃんとしないといけないんだなって感じた」と語った。


 3人でBase Ball Bearの活動を続けていくという意思が改めて伝えられると、会場から温かく、とても大きな拍手が送られた。そして渾身の力で「HUMAN」を披露し、ステージを去った。


 アンコールでは、改めてメンバー3人でステージに姿を現した。小出が「こんなにもBase Ball Bearのことを考えてくれてる人がいるってことに救われました」と語り、3人のみでアンコールの楽曲を披露。「『それって、for 誰?』part.2」「The End」の演奏を見守る観客の眼差しは熱く、3人の音色に聞き入る中、今年の『日比谷ノンフィクション』は終了した。


 『日比谷ノンフィクション』は、野外でのワンマンライブとして、毎年ファンが心待ちにしているイベントだ。Base Ball Bearの結成から15年間、バンドとして音楽を作り続け、ファンとの関係を築いてきた今の彼らだけができたライブだったように思う。この日に発表された年内にリリースされるというアルバムはもちろん、次回ツアーでのBase Ball Bearの姿も楽しみに待ちたい。(大和田茉椰)