2016 SUPER GT 第2戦「FUJI GT 500km RACE」(5/3-4)
富士スピードウェイ(1周4.563km)
入場者数:予選35,700名、決勝50,100名 合計85,800名
5月4日(水・祝)、ゴールデンウィーク開催恒例のSUPER GT第2戦「FUJI GT 500km RACE」の決勝が行われ、5番グリッドから一意専心に勝利を目指していったDENSO KOBELCO SARD RC Fは、スタートを担当したヘイキが2位から5位まで連なる集団でチャンスを窺う走り。29周を終えストレートで1号車をかわして4位にポジションアップし、35周目に暫定2位で最初のピットイン。交代した平手はクレバーな走りでタイヤをいたわりつつ、前とのギャップを少しずつ詰めていく。そして、2回目のピットインを行う直前にセーフティーカー(SC)が導入される波乱があり、ここで順位浮上のチャンスが訪れた。SC退去と同時にピットインを敢行。一気に3位に浮上するとともにヘイキは更にチャージして2位1号車を追い立てる。107周目にトップ12号車のアクシデントで2位浮上するとトップ1号車とのギャップを毎ラップ縮めていく鬼気迫る走り。約2秒詰めるも惜しくもチェッカー。ヘイキはGT初表彰台、チームは3年振りの表彰台獲得となる2位でフィニッシュを果たした。
ドライバーポイントでは15点を獲得(計19点)、チームポイントでは18点を獲得(計25点)し、いずれもシリーズランキング3位に浮上した。次の第3戦オートポリスは熊本地震の影響で中止となり、6月SUGO/7月鈴鹿の公式テストを経て、第4戦が7月23日(土)・24日(日)にスポーツランドSUGOにて開催される。
●公式練習走行
開幕戦では、シーズンオフテストから公式予選まで良い流れで来ていたが、決勝では思わぬ苦境となり7位となったDENSO KOBELCO SARD RC F。速さは身に着けたが決勝での強さに磨きをかけるべく、インターバルの間に細かい積み重ねを続けてきた。ゴールデンウィーク恒例の開催となる第2戦は、世界遺産の霊峰富士のすそ野に位置する、幾多の名勝負を繰り広げてきた今年創立50周年を迎えた富士スピードウェイが舞台。連続ポイントを獲得はもちろん、ここで大量得点を稼いで一気にタイトルへの弾みをつけたいところ。公式予選はノックアウト方式(Q1、Q2)で、決勝は約3時間に及ぶ長丁場の500kmで争われる。ドライバー交代を伴うピットストップは2回が義務付け。ウェイトハンディは現獲得ポイントの倍の数値となる8kgを搭載する。
3月下旬に当地で行われた公式テストでDENSO KOBELCO SARD RC Fは、初日総合3番手、2日目最終セッションをトップで締めくくる総合2番手など各セッションで上位タイム記録し充実したテストに。予選から激しい僅差の戦いは必至であるが、実力を発揮できれば予選上位も期待される。決勝は長丁場の500kmレースで2ストップとはいえ、序盤から激しい超高速スプリントバトルが予想されている。運や天候も含めてチームの戦略や判断などチームの総合力によって大きく勝負が左右される第2戦富士。今季タイトルの見通しを判断する重要な一戦となり、チーム一丸となって一意専心に勝利を目指していった。
3日(火・祝)午前中の公式練習走行は、気温17度/路面温度24度のドライコンディション。9時から混走セッションが開始され、ヘイキからステアリングを握ってクルマのフィーリングも確かめると共に新品タイヤのチェックを行い、まず1分29秒155でその時点でリーダーズボードのトップに躍り出る。11周目から別のドライタイヤを装着して15周目に1分29秒413と、このタイヤでのアウティングベストを記録。クルマの仕上がり具合は全く問題ないことから、19周目からは平手がドライブ。ヘイキの装着したタイヤ2セットのフィーリングを確かめた。混走セッション最後に平手が新品タイヤの感触を確かめ1分29秒371をマーク。混走セッションではヘイキのタイムで2番手タイムに。10分間のGT500単独セッションでは、平手がアタックシミュレーションを行い、4周目に1分29秒064の4番手タイム。公式練習走行ではトータル43周を走行をし、サーキットサファリではヘイキが混走ベストをマークしたタイヤのチェックに費やし、午前中は結果、平手がマークした1分29秒064の4番手タイムでQ1への準備を無事に整え、公式テストの好調さを維持している様子を走りで証明した。
●公式予選
■Q1:ヘイキが渾身のアタックで6位で突破
3日(火・祝)雲が増え始め風が強く、気温19度/路面温度27度の中、14時50分からQ1が開始された。残り7分ほどで各車が一斉にコースイン。事前のルーチンである身体のウォーミングアップを十分にしてクルマに乗り込んだヘイキ。決勝を睨み硬めのタイヤをチョイスしてコースインとなった。中々、タイヤが温まらない状況ながらもまずは4周目に1分29秒110の5番手タイムをマーク。柔らかめのタイヤを履くライバル勢に比べて温まり具合が厳しい状況ではあるが踏ん張ってセクターベストを更に刻んでいくヘイキ。各セクターでコンマ2秒ほど削る渾身のアタック。最後のセクター3でもタイムアップを果たし、1分28秒493と何とか6番手タイムに滑り込み、僅差の争いとなったQ1を見事に突破し、Q2進出を果たした。
■Q2:平手が超僅差の争いで惜しくも5位に
公式予選Q2は、気温18度/路面温度24度と若干下がり、硬めのタイヤを選択していたため更に条件が厳しくなった。ヘイキと同じハード系タイヤを装着する平手はしっかりとタイヤに熱を入れるべく、Q1より早めに残り9分でコースイン。ヘイキからタイヤのウォームアップ状況を聞いていた平手は丁寧にタイヤを温めていった。プレアタックの5周目にヘイキのタイムを上回る1分28秒094の4番手タイムをマーク。リーダーズボードが刻々と変化する超僅差の争いの中、続く5周目の最後のアタックで、セクター1、2で自己ベストを記録。期待がかかったセクター3もしっかりとまとめあげてきた平手。3位から5位までが超僅差となった争いで惜しくも5位となったが、硬めのタイヤながら値千金の3列目5番グリッド獲得となった。
●決勝
■フリー走行
4日(水・祝)決勝日のフリー走行開始時は、気温18度/路面温度24度。朝方まで降っていた激しい雨も止んで青空が広がっていたが風が強く、コースはウェットパッチが残るコンディション。まずスタートドライバーを努めるヘイキがウェットタイヤを装着してコースイン。すぐに路面が乾き、2周目にピットインして平手と交代。平手はドライタイヤで4番手タイムを刻みながらペース良く走行し、ピットワークのシミュレーションを兼ねて再度ピットインした後にヘイキと交代。14周目に1分30秒939のその時点のトップタイムをマークした。フリー走行では18周を走行し、結果3番手タイム。燃料を積んだ状態でも好調さを維持して決勝への準備を無事に整えた。
■決勝スタート
第1スティント:ヘイキが2位集団で争い4位にポジションアップ
4日(水・祝)14時決勝スタート時点は気温24度/路面温度40度と気温が上昇し初夏のような日差しに。5番グリッドから一意専心に勝利を目指していったDENSO KOBELCO SARD RC Fは、スタート担当のヘイキが上位集団の中で落ち着いた走りでチャンスを窺う走り。前との差が一旦開いたが追いついて15周目には38号車、1号車との3位を争う展開となった。隙があればドアをこじ開ようと闘志を見せるヘイキ。上位陣はタイヤを消耗させていくがヘイキのペースは健在で26周目には2位から連なる集団となりチャンス到来。29周目に最終コーナーで1号車を捉えるとストレートでかわして4位に浮上。戦略を変えてきた46号車、38号車がピットインすると暫定2位に浮上した。そして、35周を終え平手と交代すべくピットへ呼び戻した。
第2スティント:平手がクレバーな走りでギャップを削る
ピットロードでトラブル車に前を塞がれロスしてしまうがミス無く平手を送り出す。全車1回目のピットを終えたところで5位。交代した平手は堅実で力強い走りを見せてタイヤをいたわりつつ前とのギャップをじりじりと詰めていくクレバーな走り。先行するトップを除き、2位以下のタイム差は計算上、射程圏内に。先行する46号車や38号車の戦略よりも自由度が高い戦略を選択している12号車、1号車が実質のターゲットとなっている。気温26度/路面温度40度と更に若干上昇していった中、2回目のピットインを行おうとしていた矢先の72周目にセーフティーカー(SC)が導入される波乱が起きる。前との差が無くなり、順位再浮上のチャンスが訪れた。そして、77周を終えSC退去と同時にピットインを敢行した。
第3スティント:ヘイキがトップに迫る2位フィニッシュ
再びミス無く素早いピットワークでヘイキを送り出す。戦略が裏目に出た46号車、38号車が沈む中、一気に3位に浮上するとともにヘイキは更にチャージして2位1号車を追い立てる。僅かずつ前との差を削り、後方を引き離す渾身の走り。チェッカーまで残り3周となる107周目にトップ12号車のアクシデントで2位に浮上するとトップ1号車とのギャップを毎ラップ縮めていく鬼気迫る走り。約2秒詰めていくも惜しくもチェッカー。ヘイキはGT初の表彰台、チームは3年振りの表彰台獲得となる2位でフィニッシュを果たした。ドライバーポイントでは15点を獲得(計19点)、チームポイントでは18点を獲得(計25点)し、いずれもシリーズランキング3位に浮上した。次の第3戦オートポリスは熊本地震の影響で中止となり、6月SUGO/7月鈴鹿の公式テストを経て、第4戦が7月23日(土)・24日(日)にスポーツランドSUGOにて開催される。
□ヘイキ・コバライネン
「SUPER GTでの初表彰台をとても嬉しく思う。自分のキャリアの中でも久しぶりの表彰台だしね。GT2年目のシーズン、ハードワークを続けて色んな事を進化させてきた結果が実ったことがチームにとってこれからの戦いに向けて非常に良い出来事で、何よりも先行きが明るく開けたことが嬉しいし、ファンの喜ぶ顔を見れたのが最高だ。自分たちを信じて進んできたことが報われた結果だと思う。まだまだ日産勢との差を詰めていくのは大変だけど、これからも努力を続けていきたい。次の走行機会である公式テストのSUGOと鈴鹿で良いセットのアイディアを試して、彼らに負けないようにしていくつもり。次戦となるSUGOのウェイトは38kgと重たいが、再び良い結果を得られるように頑張りたい」
□平手晃平
「練習走行から良い流れで来ていて決勝を見据えたハード系タイヤで上々の5位。決勝も暑くなって有利な方向に向いてきてスタート担当のヘイキが良い出だしでペース良く、最初のピットインの際のトラブル車に引っかかりロスした事以外はうまく事が運びました。2スティント目の自分自身の走りも上位ペースで走れて差を縮められて、SC導入で燃費もギリでしたが何とか間に合い、全体的に運も引き寄せられた結果と思います。昨シーズンから中々結果がでない苦しい時期が続いてましたが、努力が報われてようやく形にできました。これに満足せず、次のSUGOは昨年クラッシュという悪い結果でしたがリベンジを果たせるように連続表彰台を狙って行きますので、引き続きご声援よろしくお願いします」
□野田英樹監督
「週末を通して良い流れで、予選は苦戦を覚悟で決勝を見据えたタイヤ選択をしましたが、Q1をヘイキが6番手、Q2で平手が5番手と2人とも素晴らしい仕事ぶりでした。決勝でも2人のドライバーの走りは落ち着いて力強く素晴らし良い走りで、メカニック達のピットワークもタイミング良く作業内容も素晴らしくノートラブルで、エンジニアも良いクルマに仕上げてくれ、持てる力を最大限に発揮できた、正にチーム一丸となって得られた結果でした。まだ2戦を終えたばかり。気を引き締めて、これからどのようにタイトル争いを展開するかじっくり粛々と攻めて行きたいと思います。引き続きご声援のほどお願いいたします」