トップへ

MotoGP第5戦フランスGPプレビュー:天候不安定のル・マン、勝敗のカギとなる雨対策

2016年05月06日 12:01  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

MotoGP第5戦フランスGPプレビュー:天候不安定のル・マン、勝敗のカギとなる雨対策
今週末、フランスのル・マン、ブガッティサーキットでMotoGP第5戦フランスGPが開催される。

 フランスGPの舞台となるル・マンは、フランスの首都パリの東南約200kmに位置した4輪の24時間耐久レースで有名な街。4輪の24時間耐久レースは公道コースを中心としたロングコースのサルテサーキットで開催されるが、2輪のグランプリは常設サーキットのブガッティサーキットが舞台となる。ブガッティサーキットは、全長4.185km、メインストレートは450mと短く、左コーナー4、右コーナー9のコーナーで構成され、全体的には中低速コーナーがメインの典型的なストップ&ゴータイプのコースレイアウト、1周の平均速度も160km/hとGP開催コースの中で低い部類のコースだ。

 パッシングポイントは、メインストレート先の第1シケインとその先の下った後の右コーナーの進入、バックストレート後のシケイン進入など。それだけに予選グリッドは重要なコースと考えられる。スタート直後の1コーナーは高速コーナーで、その直後にシケインがあるため、ここで接触、コースアウトなどのアクシデントが起こることも多い。また、レース終盤までポジション争いがもつれた場合は、最終コーナーの進入も勝負所となるが、ここは突っ込み過ぎると、クロスラインで抜き返されることも多い。

 ル・マンのフランスGPは天候が不安定なことが多く、MotoGPクラスでは2007年、2008年、2009年と3年連続で決勝スタート後に路面状況が変わり、フラッグtoフラッグレースとなった。2012年と2013年も決勝レースはウエットコンディションとなったが、2014年、2015年はドライコンディションで行なわれた。

 2015年はMotoGPクラスではホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)が優勝、2位にバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)、3位にアンドレア・ドビジオーゾ(ドゥカティ)が入賞。Moto2クラスではトーマス・ルティ(カレックス)が、Moto3クラスではロマーノ・フェナティ(KTM)が優勝している。


 MotoGPクラスでは前戦スペインGPまでの4戦で2勝を記録、全戦で表彰台を獲得しているマルク・マルケス(ホンダ)がランキングトップにつける。マルケスはル・マンのMotoGPクラスでは、2013年から3年連続でポールポジションを獲得、2014年に1勝を記録している。
「ル・マンのコースは好きだけど、天候が変わりやすいからしっかり準備をしないといけない。昨年は日曜に気温が大きく上昇して、フロントのグリップに苦しんだ。それに時々雨が降る。コースは低速コーナーが多いストップ&ゴータイプ。期待以上に低速コーナーからの加速がよかったオースティンに似たような状況になるか確認したい。ヘレスのレース後テストでは、グリップを高めるために、電子制御とシャーシの調整を進め、加速の際のウイリーを抑えるために、バイクのバランスにも取り組んだ。ル・マンに向けて、有益な情報を収集できたと思う。僕たちはオフシーズンのテストから大きく前進し、問題に対応できたので自信がある。週末が楽しみだね」とマルケス。

 ランキング2位のホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)は17ポイント差でマルケスを追う。ロレンソはMotoGPクラスにステップアップしてからの8シーズンで、ル・マンでは4勝、通算5回の表彰台を獲得している。
「ヘレスはいいレースだったけど、完ぺきな結果ではなかった。ヘレスのように毎戦最大数のポイントを獲得することが重要となるから、ル・マンでも同じことをするつもりだ。ここは天候により常に難しくなるから、雨の準備をする必要がある。目標は表彰台、コンスタントに上位に進出することだけど、タイヤのマネージメントがどうなるのか分からない。毎戦難しいレースだけど、僕たちのパッケージの中からよい部分を最大限に引き出し、集中する必要があるね」とロレンソ。

 前戦スペインGPで今シーズン初優勝を飾ったバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)はランキング3位。ル・マンの最高峰クラスでは16シーズンで3勝、通算11回表彰台を獲得している。
「ル・マンはYZR‐Z1と相性のいいコース。常に天候が不安定なのはネガティブで、雨が降るかもしれないし、気温が低いときもあるから、注意すべき要素が多い。昨年はいいレースだったけど、ホルヘに勝つことができなかったのでもう一度挑戦したい。まずはヘレスと同じような形で週末を始めたい。金曜日にいいセットアップが見つかったことが、レースで戦闘力を持つことになった。ここでもベストをつくそう」とロッシ。


 ランキング4位のダニ・ペドロサ(ホンダ)は今シーズンここまで勝利がないが、ル・マンでは2013年に1勝を記録している。
「過去にはよい結果を残しているけど、今年は他の要因を考慮する必要がある。前戦ではリアタイヤの挙動が大きかったから、ストレートでスロットルを全開にすることができなかった。ル・マンではタイヤが大きく影響する。ヘレスのテストでは、コーナー出口でのトラクションを向上させるよい解決策を探しながら、サスペンションを試し、フィーリングの向上にトライした。収集した情報を生かすことができるかどうか確認したい」とペドロサ。

 ポル・エスパロガロ(ヤマハ)がランキング5位とサテライト勢のトップにつける。
「フランスGPはチームにとってホームレースだし、ル・マンでは常にライディングを楽しめている。2014年には予選2番手から4位でフィニッシュすることができたいい思い出がある。ル・マンは天候が不安定だけど、今年は天気がいいといいね。とにかく、今週末のレースが楽しみだよ」とポル・エスパロガロ。

 ランキング6位にマーベリック・ビニャーレス(スズキ)が続く。ル・マンはビニャーレスにとって125cc時代の2011年にグランプリ初優勝を飾ったコース。
「ヘレスの後のテストで進歩が確認されたけど、まだ十分ではない。改善の余地が大きく、さらにポテンシャルを引き出す必要がある。ル・マンは簡単なコースではないけど、僕たちは懸命に働き、それに対する成果があることを期待している。改善すべき分野は分かっているし、マシンと電子制御の理解度が高くなっているので、よりよい解決策を見つけたいね」とビニャーレス。ビニャーレスは来年に向けての去就が注目されているが、スズキに残留か、ヤマハへ移籍するか、非常に困難な決断を迫られている。

 チームメイトのアレイシ・エスパロガロ(スズキ)がランキング7位に続く。
「ル・マンは特殊なコース。とてもタイトでトラクションのよさが必要とされる。この部分では大きな問題を抱え、問題解決に向けて懸命に働いた。大きな前進を果たしたからその成果が発揮されることを期待している。ヘレスではいいセットアップが見つかって、信頼性が大きく高まったから、ル・マンが楽しみだ」とアレイシ・エスパロガロ。

 ドゥカティワークスのアンドレア・イアンノーネ(ドゥカティ)とアンドレア・ドビジオーゾ(ドゥカティ)はここまで苦戦が続いており、イアンノーネがランキング10位、ドビジオーゾがランキング11位となっている。
「昨年のル・マンはポジティブなレースだった。ムジェロの事前テストで肩を負傷してしまったけど、僕は速かった。前戦のヘレスは困難なレースだったけど、今年はすばらしいポテンシャルがあるから、僕はリラックスしてル・マンに臨むよ」とイアンノーネ。
「今年からミシュランにタイヤが変わり、最初のセッションの前にどのような展開となるのか予想が難しいね。各週末が前の週末と全く違うから、新たに仕事を始める必要がある。タイヤを理解する必要があるけど、いつもポテンシャルを発揮できるル・マンには自信がある。上位争いができるチャンスを得られることを期待する」とドビジオーゾ。


 Moto2クラスではサム・ロウズ(カレックス)がランキングトップ。ロウズは前戦スペインGPで今季初優勝を達成、昨年のル・マンでは4位に入賞している。
ランキング2位のアレックス・リンス(カレックス)は昨年はポールポジションを獲得しながら、17位に終わったル・マンで巻き返しを図る。ランキング3位のヨハン・ザルコ(カレックス)は昨年は3位入賞を果たし、昨年のウイナー、トーマス・ルティ(カレックス)がランキング4位につける。

 ランキング11位の中上 貴晶(カレックス)は、ル・マンでは2013年にポールポジションを獲得しており、今シーズン初表彰台、初優勝の期待がかかる。


 Moto3クラスではブラッド・ビンダー(KTM)がランキングトップ。ランキング2位にホルヘ・ナバーロ(ホンダ)が続き、昨年のウイナー、ロマーノ・フェナティ(KTM)はランキング3位、前戦スペインGPでグランプリ初表彰台を獲得したニッコロ・ブレーガ(KTM)がランキング4位に前進した。

 尾野 弘樹(ホンダ)はランキング16位から自己ベスト更新をねらう。尾野はCEV時代の2014年にはル・マンで3位表彰台経験を持つ。

 2年目のファビオ・クアルタラーロ(KTM)はランキング19位と低迷しているが、ホームレースで巻き返しを図る。

(RIDINGSPORT)