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石浦「燃料不足のランプもまだ点いてなかった」

2016年05月05日 17:41  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

ZENT CERUMO RC F
2016 AUTOBACS SUPER GT Report
FUJI GT 500km RACE
第2戦 富士スピードウェイ

ZENT CERUMO RC F
#38 立川祐路/石浦宏明

◆5月4日(水) RACE
決勝結果 14位

天候:晴れ コース状況:ドライ

 予選3番手、LEXUS RC F勢の最上位を獲得しつつも、ライバルとのタイム差に立川祐路、石浦宏明の両ドライバーとも少々浮かない顔だった予選から一夜明け、SUPER GT第2戦は富士スピードウェイで決勝日を迎えた。前日の夜から雨が降りはじめ、明け方には激しい風雨が襲ったが、午前7時ごろから富士スピードウェイには晴れ間が見えはじめ、強い風の影響もあり午前8時30分のフリー走行開始時にはほぼコースはドライコンディションとなっていた。

 LEXUS TEAM ZENT CERUMOは、立川がステアリングを握り決勝レースに向けたロングランの確認を行うべくコースイン。すぐにピットインし、石浦に交代。3周を終え、ふたたび立川に交代し7周をこなすと、再度ピットインしふたたび石浦へステアリングを託す。立川は1分31秒台できれいにラップを並べ、石浦も31秒台から、13周目には1分30秒964へタイムを上げてみせた。

 最終的に、決勝日朝のフリー走行でZENT CERUMO RC Fは17周をこなし、石浦の1分30秒964がベストタイム。5番手でセッションを終え、決勝への準備を整えた。LEXUS TEAM ZENT CERUMOは昼のピットウォーク等のスケジュールをあわただしくこなし、14時からの決勝レースのときを迎えることとなった。

 3番手からスタートを切ったZENT CERUMO RC Fのドライバーは立川。決勝レースのスタート用のタイヤは、前日の予選で装着したものを使用しなければならないが、チームは当初、実際よりも低い気温を想定していた。そのため、タイヤの面では苦しい序盤戦をチームは予想していたが、立川はオープニングラップをそのまま3番手で終えると、2番手を走る#46 GT-Rに食らいついていく。途中、立川の後方につけていた#1 GT-Rにポジションを脅かされることがあったものの、少しずつ気温が変化しはじめると立川はペースを取り戻し、#46 GT-R、#1 GT-Rとのバトルを展開。5万1000人という来場者が訪れた富士スピードウェイのファンを沸かせた。

 立川は苦しいタイヤながら、27周目の1コーナーで#46 GT-Rをかわし2番手にポジションを上げる素晴らしい走りを披露すると、32周を終えてピットへ。チームは45.8秒の静止時間で石浦を素早くコースへと送り出す。よりコンディションに合ったタイヤを履いた石浦は順調に周回を重ねていくが、後方から1周前にピット作業を行っていた#46 GT-Rがハイペースで接近。ふたたびバトルを展開することとなった。

 石浦はなんとか#46 GT-Rを封じ込めるが、43周目の1コーナーで#46 GT-Rにかわされてしまう。とはいえ#46 GT-Rとの差は僅差。このままいけば表彰台は間違いなく獲得できるという自信をもち、最終スティントの立川に繋げるべく走行を続けていた。
 しかし68周目、トヨペット100Rコーナーの出口で、15番手を走っていた#100 NSX CONCEPT-GTの左リヤタイヤがバーストし、激しくパーツが飛散する。この処理のためにセーフティカーが導入された。LEXUS TEAM ZENT CERUMOにとっては、ちょうど立川に交代しようかというタイミング。当然チームはそのタイミングでピットに入るべく、燃料を計算していた。

 今シーズンから、SUPER GTでは安全性のために、セーフティカー中のピットインが禁止されている。もしSC中にピットに入ればペナルティが課される。果たしてZENT CERUMO RC Fの燃料はもつのか……!? 石浦は無線でチームと確認をとり、セーフティカー解除後にピットに入っても問題ないと判断した。セーフティカー中、#100 NSX CONCEPT-GTのパーツがZENT CERUMO RC Fに付くシーンもあったが、これは問題なし。一方で石浦と争っていた#46 GT-Rは、燃料が不足しSC中のピットインを余儀なくされ、これでZENT CERUMO RC Fは2番手にポジションを上げていた。

 77周目、セーフティカーが解除となった。首位を走る#12 GT-Rに続き、石浦は猛然と加速する。しかしその直後、なんとZENT CERUMO RC Fは力なくスローダウンしてしまった。燃料不足の症状なのは明らかで、石浦はなんとかペースを落としピットに戻ろうとするが、登り坂のセクター3でZENT CERUMO RC Fはついにそのパワーを失ってしまった。燃料不足を表示するランプは点いておらず、不可解なままのストップ。石浦はZENT CERUMO RC Fを降りると、悔しさを露わにした。

 表彰台圏内でのフィニッシュは確実だった状況でのまさかのストップに、LEXUS TEAM ZENT CERUMOのメンバーはやり場のない悔しさに見舞われることとなってしまった。しかし、この悔しさを晴らし、タイトル争いの舞台に上がるためには勝利しかない。この借りを取り戻すべく、LEXUS TEAM ZENT CERUMOは必勝体制で7月のスポーツランドSUGOでのレースに挑む。

ドライバー/立川祐路
「僕たちはもう少し天候が良くならないと読んで、ソフトめのタイヤを選択していました。実際は天候がかなり良くて、気温も上がったので苦しい戦いになるのではと思っていましたが、そのなかでも前半のレースをうまく運んでいくことができ、2番手に上がることができました。そこまでは順調だったのですが……。結果的には燃料不足でストップという結果になってしまい、本当に残念です。表彰台は確実にいける手応えはあったので、ちょっともったいなさすぎますね。次戦まではしばらく間はありますが、テストもあるので、次は勝つつもりでいきます」

ドライバー/石浦宏明
「まだなぜあんなことが起きたのか、信じられない気持ちです。無線でも燃料は問題ないと言われていましたし、リスタートして1周後にピットに入るように指示を受けていました。燃料不足を報せるランプもまだ点きませんでしたし、セーフティカー中も念のためセーブしたりと対策もしていたのですが……。2番手を走っていましたし、前半タイヤが苦しいなかで立川さんがしのいでくれて、コンディションに合ったタイヤに換えてからはペースも悪くなかったので、普通に走れば表彰台は間違いなかったと思います。それを取り損なって、大きな失敗になってしまいました。今後なんとか挽回できるように、がんばるしかないです」

高木虎之介監督
「序盤、セーフティカーが入るまではいいレースを展開することができました。セーフティカーはチャンスととらえていたのですが、なぜかガス欠の症状が出てしまいました。燃料は入っているはずだったのですが……。今はまだ原因を特定中です。苦しいなかでも粘りの走りでポジションを上げることができていたので、ポイントを獲れなかったのは本当に悔しいところです。次戦は取り返すためにも、絶対勝ちにいきたいと思っています」