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熊本地震における「民間企業の動き」に学ぶ いざというときの「被災地支援」のあり方

2016年05月05日 16:40  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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4月14日の熊本地震から早や20日。九州新幹線や九州自動車道も復旧し、被災地に物資が行き渡りつつあるようだ。地震直後には支援をためらっていた企業も、連休明けには自社でできることを考えてみてもよいだろう。

日本列島はこれからも、さまざまな災害に襲われることが予想される。いちど被災者支援を行った経験のある企業は、次回以降も「自社に何ができるか」と迅速に検討し、行動できる素地ができる。今回の地震直後の企業の動きを振り返ってみたい。(ライター:okei)

アウトドア用品メーカーは連日テントを運搬

政府や自治体といえども、実際に動くのは人間だ。緊急時には彼らにだけ頼っていても限界がある。4月19日放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)は、混乱が続く中で独自の取り組みを行った民間企業を取材していた。

アウトドア用品メーカーのモンベルは、自宅に帰れず車中泊を強いられる被災者たちにテントや寝袋、マットなどを無料で貸し出した。テントは道の駅「あそ望の郷くぎの」の駐車場に数多く張ったほか、自宅へ持ち帰って庭に張ることもできる。

大阪に本社を構える同社は、1995年の阪神・淡路大震災を機に「アウトドア義援隊」というボランティア組織を立ち上げた。利用者にはテントの組み立て方も丁寧に説明している。

車中の寝泊まりで血管が詰まるエコノミー症候群で亡くなる人が出たため、身体を横たえて休める環境が必要だ。幼い子ども6人を抱えて車中泊は辛かったという主婦が、夜間は気温が2度まで下がる南阿蘇でも「温かいし、寝心地がいい」と喜んでいた。

輸送を引き受けられる運送会社がない中で、不足する家族向け大型テントを早く届けたい思いから自社で連日100張以上のテントを運搬したという。同社で輸送に携わる佐藤さんは「基本的に物流が肝」と語り、それさえしっかりしていれば、あとはニーズに応えて供給するだけと力強く話していた。

物流のプロが新たな集積所を設けて支援物資を仕分ける

支援物資の輸送の要となっているのが、大手運送会社の日本通運とヤマト運輸だ。これまで政府に指定された集積所まで支援物資を運送していたが、18日には運用を変更。その理由について、全日本トラック協会の萩原正吾さんはこう証言する。

「熊本県庁が第一の集積所だったが、そこに相当の荷物が入ってパンクしてしまった」

職員に物流のノウハウがなく、大量の支援物資を扱いきれなかったのだ。そこで新たな集積所を5か所、運送会社の物流センターに配置。大量の物資の仕分けを行い、各地の避難所へ直接届けることにした。

これまで職員が遠方の避難所まで物資を取りに行っていた合志市役所では、市役所内に避難している人たちに消費期限内のおにぎりを届けることができた。日本通運の有田正巳さんは「とにかくスピードが数段早くなったと認識しています」と安堵の表情だった。

アウトドアのプロ、物流のプロの民間企業が、公共セクターと手を携え、ときには独自の取り組みをして被災地支援を行う。すべての企業が、これから起こりうる災害にどう備え、いざというときどう動けるか考えておくべきではないだろうか。

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