スーパーGT第2戦富士 GT500kmレース 決勝レポート
5月4日(水)、スーパーGT第2戦「FUJI 500km RACE」の決勝レースが開催されました。前日に降り出した雨は朝方まで続き、一時はその雲行きが危ぶまれましたが、午前8:30からスタートしたフリー走行では青空が見えるほどの快晴に。コースには所々ウェットパッチが残る状況でしたが、各車一斉にコースインした結果、路面状況はすぐに通常のコンディションへと回復しました。
No.2 シンティアム・アップル・ロータス(SGT EVORA)はまず加藤寛規選手がコースイン。ニュータイヤの皮むきを終え、一旦ピットに戻るも、決勝用に変更したSGT EVORAの状態をチェックするために、再びすぐに走り出しました。まさに肩慣らしという状況でSGT EVORAが刻んだタイムは1分40秒601がベスト。その後は高橋選手に交代し、6Lapの周回を重ねました。
■決勝レース
ゴールデンウィークに相応しい晴天となった富士スピードウェイ。決勝レースは定刻通り、14:00ちょうどにローリングスタートで幕を開けました。1年に2回のレースが開催される富士。今回のレースは通常よりも200km長い、500kmのミドルディスタンスであることが特徴です(1番長いレースは鈴鹿1000km)。参加チームには2回のセットアップが義務付けられており、ミニマム3スティントでレースが組み立てられます。ちなみに14番手スタートとなったNo.2 シンティアム・アップル・ロータス(SGT EVORA)は、加藤寛規選手がスタートドライバーを担当。これによって最終スティントを再び加藤選手が走れるため、上位進出への可能性を広げることができます。
燃料をフル搭載した状態ながら、序盤を1分41秒台で順調に周回を続けたNo.2 SGT EVORA。ストレート加速に勝るライバルたちに飲み込まれながらも着実に順位を上げ続け、17周目には12位へと浮上します。しかし21周目、ヘアピンコーナーでSGT EVORAはスピンを喫します。名手・加藤選手をしての、まさかのアクシデント。それは前日にあやぶまれたタイヤとのマッチングが、周回を重ねるごとにひどくなっていった結果でした。
幸いマシンは無事でしたが、順位は19位へと退。そのあと加藤選手はすぐにピットインし、タイヤだけを交換して再びコースへと復帰しました。加藤選手はタイヤをいたわりながらも懸命に走り続け、ライバルたちがルーティンのピットインをすることで40周目には10位、45周目には8位へと順位を上げ、トップとの差も同一周回にまで回復させました。そして46周目に高橋選手へ交代。順位は19位へと落ちてしまいましたが、高橋選手も1分42秒台でコンスタントに周回を重ね、これをキープします。
64周目にはGT500マシンがクラッシュし、セーフティカーが導入されました。しかしチームはこれに呼応せず、セーフティカーがアウトした後も高橋選手はコースにステイ。そして76周目まで走り続け、12位まで順位を回復させました。最終スティントは加藤選手が担当し、15位に落ちた順位を再び13位まで引き戻してチェッカー。ポイント獲得の10位まで、あとわずかというところでレースが終了しました。
今回は非常に苦しいレースとなりましたが、チームとしてはタイヤとマシンのマッチングに対する課題もみつけることができました。次回は7月23日(土)/24日の第4戦SUGOラウンド。その前にタイヤメーカーによるテストも行われるので、次戦ではSGT EVORAの速さを取り戻すことができると思います。
チーフエンジニア:渡邊信太郎
「土曜日に懸念していたタイヤライフの問題は、残念ながら予想通りの結果となってしまいました。決勝は空力とメカニカルの両面でリヤタイヤをいたわる傾向にセットアップを施しましたが、想定以上にタイヤの減りは早かったですね……。加藤選手のスピンも、それが理由です。しかしこのレースが終わるとすぐにタイヤメーカーによるテストが開催されます。今回のデータをもとに、横浜ゴムさんと協議しながらよりよいマッチングを探し出すつもりなので、期待していて下さい!」
ドライバー:加藤寛規選手
「シーズンオフの間にタイヤテストは行いましたが、ロングをかけられなかった。そのしわ寄せが今になってマシンとのマッチングに現れた、というのが今日の結果です。もちろんロングランに対する対策はしていたのですが、足りなかった。マシンも昨年より大幅にポテンシャルを上げてしまったので、タイヤとのマッチングが取り切れませんでした。今日のレースに関しては、プッシュしたくてもできない状況に対してフラストレーションがたまりましたね(苦笑)。早くこの状況を克服して、気持ちのよいレースがしたいです! スピンに関しては、完全にこちらのミス。自分のタイヤハウスに飛び散ったタイヤマーブルを拾ってしまい、どうにもできませんでした。65号車には悪いことをしてしまいました」
ドライバー:高橋一穂選手
「ラップタイム自体はライバルに較べて遅かったですが、1ピット分のロスがなければ6位には入れる計算だったので、残念です。加藤選手がどんなに上手に乗ってもタイヤの消耗が早く、しかも激しかったので、自分のスティントで30ラップも走ることにはかなり緊張しました(笑)。それでもタイヤの構造はとても丈夫だったので、ヨコハマさんには感謝してます。次戦までにタイヤとマシンのマッチングを取れるように、チーム全員でがんばりたいと思います」