スーパーGT第2戦富士500kmは、レース後半に波乱が相次ぐ大荒れの展開となり、最後はMOTUL AUTECH GT-Rの松田次生/ロニー・クインタレッリ組が大逆転で開幕2連勝を飾った。
レース序盤から盤石の走りでトップを独走していたカルソニックIMPUL GT-Rは、中盤のスティントは安田裕信が務めた。1回目のピットストップの時点で後続に対し10秒以上の差をつけていたが、2番手につけていたS Road CRAFTSPORTS GT-Rの千代勝正が開幕戦同様にクレバーな走りを披露。少しずつ安田との差を詰めていくが、安田も好ペースを維持し、なんとか7秒差をキープしていた。
トップが72周を過ぎたところで、RAYBRIG NSX CONCEPT-GTが100R出口で左リアタイヤのバーストに見舞われる。このバーストにより、ちぎれたゴムが周辺のカウルを全て破壊し、マシンはスピンをして停車した。ドライバーシート側のドアまで粉々になる大きなアクシデントとなったが幸い伊沢は無事。すると、コース上に飛び散ったパーツを回収するためセーフティカーが導入され、トップ2の差がなくなったことで勢いに乗っていた千代が有利になるかと思われた。
だが、今年からセーフティカー中のピット作業が禁止になっているにもかかわらず、2番手を走っていたS Road GT-Rはガソリンが持たず、やむなくピットインし本山哲に交代。レース再開後に90秒のストップペナルティを受け、表彰台圏内から脱落してしまう。セーフティカーで安田との差がなくなり、逆転への絶好のチャンスだっただけに不運のピットストップとなってしまった。
78周目からレースが再開されると、レースはさらに荒れた展開に。S Road GT-Rの脱落で2番手に上がっていたZENT CERUMO RC Fが、TGRコーナーを通過したところでガス欠に見舞われスローダウン。石浦宏明がなんとかピットまでマシンを戻そうと努力するもプリウスコーナーを立ち上がったところで止まり、リタイアとなってしまった。
一方、再開直後はピットに入らず、1周を走って2回目のストップを敢行したカルソニックGT-Rは、オリベイラに交代しコースに復帰するが、セーフティカーランの解除後すぐに作業を終えていたヘイキ・コバライネンのDENSO KOBELCO SARD RC Fに接近を許してしまう。また、その翌周にはMOTUL AUTECH GT-Rがピットイン。ここでMOTULは給油時間の少なさとメカニックの迅速な作業により38.5秒でコースに復帰。残り30周を切ったところでカルソニックGT-Rを逆転することに成功した。
しかし、オリベイラも諦めずに猛追を見せ、すぐさま1秒後方に迫りプレッシャーをかけていく。このバトルは約10周以上にわたってこう着状態が続いていたが、96周目のTGRコーナーでジョアオ・パオロ・デ・オリベイラがロニー・クインタレッリのインに飛び込んだ。クインタレッリはクロスラインで応戦するがオリベイラも負けじとノーズをねじ込み、サイド・バイ・サイドのバトルの末に、コカ・コーラコーナーでオリベイラが逆転。トップの座を奪い返した。
レースはこのままカルソニックGT-Rが逃げ切るかと思われたが、クインタレッリも最後まで諦めずにプレッシャーをかけ、コンマ6秒差でチャンスをうかがう。これに対してオリベイラはGT300のバックマーカーもロスなくトップを死守していたが、なんと残り3周の100Rで左リアタイヤがバーストしてスピン。直前のRAYBRIG NSX CONCEPT-GT同様にマシン後部がバラバラに壊れてしまい、コース脇にマシンを止めた。2年ぶりの優勝までわずかというところで、無念のリタイア。オリベイラは力なくマシンを降りると、コース脇のサービスロードで座り込んでしまい、天を仰いだ。
思いもよらぬ形で再びトップに返り咲いたクインタレッリは、最後まで着実に周回を重ねそのままトップチェッカー。40kgというウエイトハンデをもろともせず、開幕2連勝を飾った。2位にはDENSO RC Fが入り平手晃平/ヘイキ・コバライネン組がタッグ2年目で初表彰台を獲得。3位には予選で下位に沈んだKeeper TOM’S RC F(ジェームス・ロシター/平川亮組)が粘り強く追い上げ、2戦連続で表彰台を手に入れている。