日本の借金が年々増え続けている。そうした日本の財政状況に中高生にも関心を持ってもらえるようにと、財務省が財政学習教材「日本の『財政』を考えよう」を作成した。
5月1日のNHKの報道によると、財務省がこのような財政に関する教材を作るのは初の試み。今夏の参議院選挙から18歳に引き下げられる見通しになっていることが背景にあるようだ。表紙には「日本の財政の現状を理解し、財政を『自分事化』しましょう」とある。
「国民一人ひとりが予算の使い道を真剣に考える必要がある」と説教
教材では、公共サービスにかかる費用や、国の歳出・歳入の状況を説明している。全ページがカラーでイラストや図を用いており、中高生に興味を持ってもらえるように配慮しているようだ。また、「『1兆円』のイメージ」というページでは、1兆円で東京スカイツリーを15棟建設できるといった説明の仕方もされている。
しかし、内容はなかなか重い。国の借金について触れたページでは、2016年度末の国債総額が838兆円に達する見込みであることや、1人当たりで計算すると664万円にのぼると強調。また、借金が増大すると、「公共サービスへの支出が減少」「負担の先送り」「借金返済がますます困難」といった問題が起こると解説。
「国民一人ひとりが予算の使い道を真剣に考え、どのようにして財政を運営していけばよいか考える必要があります」
と呼びかけている。
教材を作るなら若者ではなく「年金もらってる高齢者向けに作れ」
確かに、国の財政の現状を知ることは必要だろう。しかし、若者に負担を求めるようにも取れる内容に、ネットでは「若者はとばっちりじゃねえかw」と非難する意見が相次いだ。
「若者が作った借金じゃないけどね 上の世代のツケを払わされると」
「若者に借金は関係ないんだよなあ…老人共が勝手に蓄えたりマネーゲームしたりの結果だろ押し付けてくんな」
また、若者に教材を作る前に高齢者向けに作るべきなのではという意見もあがっていた。
「教材作るなら中高年、とくに年金もらってるジジババ向けに作れ。それで社会保障削減、金融課税強化にもってくならわかるが、今さら若者向けに作ってなんになるってんだ!」
財政シミュレーションゲームには「クソゲー」という声相次ぐ
財務省はよほど国の借金に関心を持ってもらいたいと考えているようだ。最近も、「財務大臣になって財政改革を進めよう」というシミュレーションゲームをサイト上で公開している。「借金は将来へ先送りされる負の遺産」であるため、財務大臣になったプレイヤーが2016年度予算をもとに財政改革を行い、2020年度までに「基礎的財政収支の黒字化」を目指すといった内容だ。
だが、プレイした人からは「クソゲー」との声が相次いでいた。増税をしないとなかなか目標は達成できず、また、予算の「増額」「減額」「現状維持」を決定する項目に議員や公務員の年収削減といった人件費に関する選択肢がないのだ。
「やってみた。このクソゲー、前提が増税です。増税以外だと絶対に破綻するようになっているw」
また、「こんなゲームに無駄な金使うなよ…」といったゲームを開発する前に借金返済に充てるべきではという声も噴出した。
「こんなことに税金が使われてるとか涙が出るわ」
「このゲーム制作に充てた予算を国の借金返済にまずは充てるべきだった。こんなシンプルな事に気づかない財務省ってw」
そのため、今回の教材に対しても「この前の糞ゲーとかコレとかほんとアホかと思う」「ゲーム作ったり教材作ったりしないと予算捌けないの?」という声があがっていた。
あわせてよみたい:保育士給与引き上げってたった2%?