トップへ

「退職願」と「退職届」の違いが分からない…会社を辞めたい時にはどうすれば?

2016年05月04日 09:21  弁護士ドットコム

弁護士ドットコム

記事画像


「退職願」と「退職届」。両者の違いをご存知ですか。


ネットでも様々な声があります。


「会社をやめる、と本気で決めた時に提出するのはどちらですか?もうほんとにやめたいなら届をだす、という情報があったり、いきなり届をだしたら非常識だ、という情報があったり、どれが正しい情報なのかわかりません」


「夫が転職するので、現職を退職することになりました。そこで上司に文章なるものを提出するのですが『退職届』か『退職願』か分かりません」


退職願と退職届にどんな法的な違いがあるのでしょうか。どう使い分けるのがいいのでしょうか。企業法務に詳しい高島秀行弁護士に聞きました。


A. 退職願は会社が承諾するまでは撤回が可能


退職願は、合意による退職の申し入れとされています。したがって、退職願は、会社が退職を承諾して初めて退職の合意ができますので、その時点で退職の効果が生じます。重要なのは、退職願は、会社が承諾するまでは、基本的に撤回が可能だということです。


これに対して、退職届は、退職の意思の通知とされています。一般的な正社員は期間の定めのない雇用契約により雇用されていますので、退職届を出すと、2週間後に退職の効果が発生します。退職届の場合、退職願と異なり、会社が退職を承諾する前だからといって撤回できないという点が重要となります。 


両者の使い分けについて説明しましょう。会社が承諾しなくても、場合によっては反対されても絶対に退職するという退職の意思が固い場合は、退職届を提出するということになります。会社が承諾してくれたら退職しようと考えるようなケースでは退職願を出すということとなります。


ただし、会社が引き留めてくれるだろうと期待して、退職願を出したら、会社からすぐに退職を承諾されてしまうというケースもあります。ですから、退職願なら撤回できるし、会社も退職をすぐには承諾しないだろうという甘い考えで退職願を出したりしない方がよいと思います。




【取材協力弁護士】
高島 秀行(たかしま・ひでゆき)弁護士
「相続遺産分割する前に読む本」「訴えられたらどうする」「企業のための民暴撃退マニュアル」(以上、税務経理協会)等の著作があり、「ビジネス弁護士2011」(日経BP社)にも掲載された。ブログ「資産を守り残す法律」を連載中。
事務所名:高島総合法律事務所
事務所URL:http://www.takashimalaw.com