2016年シーズン開幕後、ルノーが第2戦バーレーンGPで、ロシアGPでフェラーリとメルセデスがトークンを使用した改良型パワーユニットを投入したことが判明した。そこで気になるのは開幕以降、唯一トークンをつかわずに4戦を消化したホンダの動向だ。
ロシアGPでFIAが明らかにした、各パワーユニット・マニュファクチャラーのトークン使用数と残りトークンは次のとおりだ。
フェラーリ:26トークン(残り6トークン)
メルセデス:21トークン(残り11トークン)
ホンダ:18トークン(残り14トークン)
ルノー:8トークン(残り24トークン)
マクラーレン・ホンダはロシアGPで今季初のダブル入賞を果たしたが、メルセデス・ワークスやフェラーリからは大きく引き離され、周回遅れでの6位と10位。この結果に長谷川祐介ホンダ総責任者は「メルセデスとフェラーリが実際どれくらいの燃費をセーブしながら走っていたのかわかりませんが、我々が燃費をセーブする必要がなければ、あそこまで離されることはなかった」と語り、パワーユニットのパフォーマンスをさらに上げなければ、ライバルに追いつけないことを痛感していた。
ただし、同時に「当然、開発はやっているので(トークンを使用した改良型パワーユニットを)入れようと思えば、入れられないことはありませんが、現時点でそれだけのものが、まだできていません。トークンを使用しても、何も変わっていないのでは意味がありませんから、中途半端にトークンを使いたくない」と、トークンの使用には慎重な構えを見せている。
またトークンを使用するには、タイミングを考える必要がある。ルノーやメルセデスのようにパワーユニットを新しくしなくてもトークンを使用できるパーツをアップデートするのであれば、すぐに投入できるが、エンジン本体やターボチャージャーなど年間5基の制限がある主要6コンポーネントにトークンを使用する場合は、それらのコンポーネントを新しくするタイミングに合わせたほうが効率が良い。
つまり、それまで使用してきたパワーユニットを使い切って、次のパワーユニットに交換するタイミングが理想的なのだ。フェルナンド・アロンソの2基目は第2戦バーレーンGPから使用しているので、第5戦スペインGPまでは使い続けたい。その次のモナコGPは最もパワーユニットに負荷がかからないグランプリなので、モナコGPが終了したあとにトークンを使用するのが効果的と考えられる。ロシアGP後に、長谷川総責任者は次のように語っていた。
「現時点では何も決まっていませんが、次のバルセロナ(スペインGP)は、どちらかというとテクニカルなサーキットで、その次のモナコは市街地サーキットですから(アップデートした改良型パワーユニットが)なくても戦えるかなと考えています」
しかし「スペインGPにトークンを投入するのではないか」という説もある。さまざまな情報を総合すると、最も可能性が高いのはカナダGPで、次がカナダGPとヨーロッパGPの連戦明けのオーストリアGP。ただし、スペインGPで細かなアップデートをしてくる可能性も考えられる。いずれにしてもロシアGPでのダブル入賞で、ホンダのHRDさくらの動向が、これまで以上に注目されていることは間違いない。