ZENT CERUMO RC Fが予選3番手に入ったものの、グリッド2列目までに3台のGT-Rが入り、ポールポジションを獲得したカルソニック IMPUL GT-RとZENTの差はコンマ5秒と、結果以上にニッサン陣営の強さが際立った予選となった第2戦富士。明日の決勝はどこがポイントになるのだろうか。
優勝必至の目標でこの富士戦に臨んでいたZENT陣営の落胆は大きかった。同じブリヂストンタイヤで、ほぼ同じウエイトハンデのカルソニックとコンマ5秒差。同じブリヂストンでも選択したタイヤが違っていたとはいえ、この差は大きい。「このままでは昨年の再現になってしまう」とZENTの立川祐路が危機感を示すように、昨年、MOTULとカルソニックの1-2と同じ展開が起きても不思議ではないほど、GT-Rは速かった。
昨年は2台のマッチレースだったが、今年はさらに予選2番手のS Road CRAFTSPORTS GT-Rが加わり、GT-Rの3台が独走してGT-R同士で争うという、ニッサンファン以外は喜べない展開になる可能性も秘めている。それほどまでに、この予選を見る限り、GT-Rのこの富士での強さは圧巻だった。
今年は開幕戦の岡山に続き、この富士でもレコードタイムが更新された。空力開発が凍結されて昨年と変わらず、燃料流量が昨年と比べて95パーセントと、5パーセント減っている中でのタイムアップ。ニスモの鈴木豊監督は「タイヤの進化が大きいですが、それに合わせて足回りやエンジンのトルク特性も進化しているためではないでしょうか」と、その理由を分析する。
ただ、ライバル陣営としては「開発が凍結されたお陰で、GT-Rを挽回できない」との声もあり、実際、ニスモの鈴木監督も「この富士では昨年のアドバンテージがそのまま今年も継続された形となった」と、その強さの背景を認めている。ハード面での大きな進化が規定で定められている以上、ソフトウエア面や細かい進化の積み重ねでライバルを超えなければならないが、当然ながら、それは一朝一夕でできることではない。
特にホンダ勢は今回、2台がQ2に進出できたとはいえ、明日の決勝で上位争いができるかというと、岡山での決勝ペースを振り返ると、この富士でもかなり厳しい展開が予想される。いずれにしても今年のGT500はしばらくは昨年と同じようにGT-R主役のまま、シーズンが進むことが今回の予選で明らかになった。開発凍結で費用を抑制するのはいいが、それでクルマの魅力、レースの魅力、そしてシリーズの魅力が損なわれてしまっては本末転倒となる。
明日のレース展開を予想するにあたっては、まずは天候が気になるところだが、午前中には止みそうな気配。ただ、夜から朝に掛けてはかなり強い雨が降るとの予報で、サーキット内でお泊まりする方はご注意を。レース展開としては雨上がりの路面がどの段階で乾くのか。また、その時点での路面コンディションがどうなっているのかがポイントになりそうだ。
レース戦略は2回のピットストップが義務付けられており、500kmの周回数110周を均等割りするなら30-40-40周となるが、最初の2回のスティントをできる限りひっぱり、燃料が軽い状態での走行を多くして最後のスティントを短くするのが王道パターン。それでも序盤にセーフティカーが入るような展開になると、チームごとのターゲットによって判断が分かれ、戦略が入り乱れることになる。燃料流量が95パーセントとなって戦略の幅は昨年以上に広がるため、ピットストップ時間を含めて昨年以上にチーム力が問われることになりそうだ。
GT300はJAF勢とFIA-GT3勢が入り乱れる予選結果となった。両者の予選一発のタイムは僅差だが、ロングランでどうなるか。決勝では直線速度に勝るGT3勢が強そうだが、燃費の面ではJAF勢が勝る。いつもより1回多いピットストップがどのように影響するのか。第2戦のGT300はいつも以上に予想のしづらい状況だ。