新生ハースF1チームに移籍し、チーフエンジニアとしてチームのレース部門を統括する小松礼雄氏。中国GPでは目標である2台フィニッシュを達成したもののパフォーマンス面で課題の残るレースに。小松エンジニアは今度どんな対策を取っていくのでしょうか。F1速報サイトでしか読めない、完全オリジナルコラム第5回をお届けします。
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4秒のミスがどういうことか
失敗を体験しながら毎戦進歩していく
中国GP、レースを2台でフィニッシュできたことは当初からの目標のひとつだったので、それはとても良いことなのですが、14位、19位と、パフォーマンスが良くなかったので課題の残った週末でした。また、レースウイークを通していくつか問題が起きましたが、作業の責任分担、手順など見直さなければならない点が出て来ました。
最初にFP1でエステバン(グティエレス)のクルマが走れませんでしたが、それはクルマの信頼性をモニターする際になければいけないセンサーがちゃんと作動していなかったからです。
ギヤボックスの中にあるセンサーなので、ギヤボックスを外さないと直せないのでこれでP1を無駄にしてしまいました。さらにFP2ではエステバンのクルマでブレーキ火災が起きましたが、これも作業のミスです。結果としてブレーキピストンが動かなくなって、ブレーキがかかりっぱなしになってしまったのです。
これはもちろん、ふたつとも絶対にあってはいけないレベルの問題なので、こういうオペレーションを片っ端からミスの出ないようにしていかないといけません。
中国GPではタイヤの内圧規制が変わりましたが、その通達は毎レースごとにきます。冬の段階でタイヤ・ワーキンググループという全チーム参加するミーティングがあって、この時からこうなることはわかっていたので別に驚きはしないです。
ただ、なぜこの様な設定になってしまうのかは、僕には判りません。次のロシアも内圧は高いし、個人的にはあまり理解できない規定だけど、みんな同じですし、そんなことをガタガタ言っても始まらないので、各チームがどれくらいそれに対応できるかというのが、チームの能力の発揮どころだと思います。
今回の予選は、赤旗によって波乱の展開となりましたが、たとえ赤旗がなかったとしてもロマン(グロージャン)はなんとかマクラーレンの前で終われたかもしれないくらいで、Q3には行けたとは思いません(グロージャン予選14位、グティエレス予選18位)。中国でのウチの競争力はバーレーンよりも悪かったですけど、それは、タイヤを上手く使いこなせなかった事に起因していると思います。
逆にバーレーンではほぼ完璧にタイヤを機能させることができましたが、中国はバーレーンとは状況が大きく違います。サーキットのレイアウトも違いますし、路面の荒さや温度も違います。バーレーンではリヤタイヤがリミットになりますが、中国では逆にフロントタイヤがリミットになります。
このようにサーキットごとに違ってくる要求にクルマを合わせてタイヤを上手く使えるかどうかでチーム力も見えてくると思います。残念ながらウチはまだ対応しきれませんでした。これも、この先、安定して結果を残していくために重要なポイントになってきます。
■ノーズ交換に時間がかかったのは、取り付け部分のデザインが影響
■人手不足なのでリクルートを開始
■中国GPでタイヤをうまく扱えなかった理由は判明
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