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アロンソ「“リアルでない”オーバーテイクを増やす必要はない」

2016年04月29日 15:11  AUTOSPORT web

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2016年中国GP フェルナンド・アロンソ(マクラーレン・ホンダ)
来季F1規則変更によりオーバーテイクがより困難になるとして反発しているドライバーたちは多いが、マクラーレン・ホンダのフェルナンド・アロンソは、今のF1のオーバーテイクは人為的に生み出されている要素が強く、そういうオーバーテイクを増やすことに注力していく必要はないとの考えを示した。

 2017年のF1レギュレーション変更によって、F1上層部は今より圧倒的に速いマシンを生み出そうとしている。しかし、ダウンフォースを増やすことによりこれを実現しようとしていることで、オーバーテイクがより一層難しくなると、一部のドライバーたちは懸念している。

 
■「今のオーバーテイクはリアルじゃない」



 しかしアロンソは、今のF1では純粋にドライバーの腕でオーバーテイクを成し遂げるというよりも、DRSやタイヤ戦略の違いによって順位を入れ替える場合が少なくないとして、“リアルではない”オーバーテイクであれば必ずしも増やす必要はないとの考えを持っている。

「(前戦)中国は極端なケースだが、戦略、セーフティカーといった様々な要素が絡み合って、とても混乱したレースになった」とアロンソ。

「今のF1では16位や17位を走っているマシンでも、新品タイヤに交換してピットレーンから出てきたばかりなら、メルセデスを抜いて引き離すことだって可能だ」

「そういう状況はテレビで見ている人たちには説明しづらい」

「今のオーバーテイクはかつてほどリアルなものじゃないと思う。チャンスを感じ取って攻めるとか、的確な場所で的確なタイミングを見定めて挑む、というような必要はないんだ」

「あるコーナーでだめでも次のコーナーを待てば抜ける。相手が5秒遅ければね」

 
■ミハエルとの激闘、2005年サンマリノGPは良い例



 アロンソは、ミハエル・シューマッハーと激しい優勝争いをした2005年のサンマリノGPは、オーバーテイクが少なくても素晴らしいショーと受け止められていることが、ひとつの良い例であると述べた。同グランプリでは、首位を走るルノーのアロンソを13番グリッドスタートのフェラーリのシューマッハーが後半攻め立て、13周にわたる激しい攻防の末に、アロンソは0.2秒差で首位の座を守り切った。

「あのレースでは全体を通して3回か4回しかオーバーテイクがなかった。それでもショーとしてベストの部類に入ると考えられている」とアロンソは言う。

「だから、オーバーテイクを増やすことばかりを考える必要はないと僕は思う。今と同じぐらい、あるいは今よりもオーバーテイクがしづらい時代でも、素晴らしいレースがいくつもあるからだ」

 
■人為的な演出より、速さが必要



 アロンソは、オーバーテイクを増やすことよりも、レース中もF1にふさわしい速さで走り続けて戦えることを願っている。

「今はあまりにも人為的になりすぎている部分があるし、マシンは遅すぎる」とアロンソが語ったとCrash.netは伝えた。

「予選の1周では速いタイムで走っている。でも決勝になって燃料をたっぷり積み、タイヤのグリップがなくなると、9秒も遅くなる。F1マシンとして受け入れがたいタイムだ」