レッドブルは、自らF1エンジンの開発に乗り出さず、インディペンデントチームであることを選んだ結果、パワーユニットに関して「無防備な」立場に立たされることになった、とルノーのマネージング・ディレクターを務めるシリル・アビテブールが語った。
レッドブルは、V6ハイブリッドエンジンの時代を迎えてから競争力の低下に苦しみ、2016年に向けてメルセデス、フェラーリ、ホンダのパワーユニットの獲得を目指したが、最終的には昨年までのエンジンサプライヤーであるルノーとの再契約という形に落ち着いた。
先月、レッドブルのモータースポーツアドバイザー、ヘルムート・マルコは、彼らが自社製エンジンの開発を実際に検討はしたものの、そのプロジェクトがあまりに複雑すぎるため断念したことを明かしている。
アビテブールは英AUTOSPORTに対し、次のように語った。「現在の(エンジンに関する)状況は、彼ら(レッドブル)にとって大きな不満の種になっている。彼らは、自分たちがエンジンサプライヤーのパフォーマンス、あるいはパフォーマンスの欠如に対しては何もできず、脆弱で無防備であることを思い知らされたのだと思う」
「だが、彼らは自社でエンジンを製作せず、インディペンデントチームであることを選択したのだから、どうしようもない。自分たちの選択の責任を負うしかないということだ。彼らはFOMから受け取っている資金の一部を費やして、エンジンを開発することもできた。しかし、彼らはその金をシャシーの開発とドライバーの育成に注ぎ込むことに決めた」
「彼らがその2つの領域でライバルをリードしている理由もそこにある。だが、エンジンに関してはまったく無防備になった。それが彼らの戦略の弱点ということだ」
レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは、F1のエンジン製造者4社がコスト、供給保証、サウンド、性能の均衡化についてのプランをまとめられないことに強い不満を示し、彼らは「時間稼ぎ」をしながら4月30日の期限がすぎるのを待っていると糾弾した。ホーナーが、いわゆるインディペンデントエンジンのコンセプトを再検討するしかないと主張していることについて、アビテブールは彼の言いたいことは理解できると述べた。
「レッドブルが望んでいるのは、まあ誰でもそうだが、競争力のあるエンジンを手に入れることだ。だから、マニュファクチャラーのエンジンでも、独立系エンジンビルダーが作ったものでも、競争力のあるエンジンが提供されるという保証さえ得られれば、彼(ホーナー)は文句を言わないだろう」
「とはいえ、マニュファクチャラーのどこかが、というか、それがかつて彼らと共に多大な成功を収めたフランスのマニュファクチャラー(=ルノー)であってもいいのだが、競争力のあるエンジンを供給できるなら、彼らがそれを受け入れるのは間違いないと思う」
「彼らはとにかく競争力を持つことを望んでいる。それも将来的にではなく、いますぐにだ。だから、その可能性を与えてくれるものであれば、FIAのインディペンデントエンジンを含めて、どんなことでも歓迎するだろうね」