ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで4月8~10日、2016シーズンのイタリアF4開幕戦が行われた。26台だった15シーズン開幕戦の参加台数から、今季は41台と大幅に増加。これを受けて競技規則と競技方式は当初予定から急きょ変更され、成績不振の5台が日曜日の決勝レースから強制的に排除される激戦となった。
「じつのところビンチェ(注:ビンチェンツォ・ソスピリ、ビンチェンツォ・ソスピリ・レーシング代表)からは、ミサノには52台が参加すると1週間前に脅されました。決勝レースの最大グリッドは36台で、16台が予選レースだけで終わると想像して、後ろへ引っくり返りそうになりました(汗)」と万璃音。
「クルマに予想外のトラブルが出たり、不運なアクシデントに巻き込まれたら……。最悪、日曜日の決勝レースに出られない可能性もある現実を突きつけられ、イタリアF4は15シーズン以上に簡単じゃないと、ふんどしの紐を締め直しました。いや、僕はボクサーパンツ派ですけれど(汗)」
ミサノにおける参加台数の大幅増には理由があり、足慣らしや練習を目的として開幕戦を翌週に控えたADAC(ドイツ)F4のドライバーとチームが乗り込んできたため。最終的には41台に落ち着いたものの、プレマやジェンツァーやミュッケなどの有力チームは、将来を嘱望されるドライバーを送り込んできた。
たとえば、プレマ。ミハエル・シューマッハーの息子ミック・シューマッハーは今季、2シーズン目のドイツF4と1シーズン目のイタリアF4を並行して通年参戦の予定。彼の場合ファン・アマースフールトからの移籍でも想像できるように、17シーズンはヨーロッパF3へのステップアップ、18シーズンはGP2(あるいはFIA-F2)へのステップアップをいち早く目指しているようにも見受けられる。
ミックのようにドイツとイタリアのF4への並行参戦を正式に表明しているドライバーは決して多くないものの、それでもイタリアF4は今後も15シーズン以上の参加台数が予想されている。
「ミサノの開幕大会、得意ではないウェットコンディションで予選1組4番手と、自分でもびっくりするほど上々の滑り出しでした。しかし予選レース1は、表彰台を射程圏内に収めながら自分の意気込みが上回りすぎて3番手のクルマに接触。さらに予選レース2は、スタート直前の雷雨で得意ではないウェットコンディションに翻弄されました。事前テストではトップタイムを記録していましたし、ミサノでは勝てる可能性が高いと思っていたからこそ無得点に終わって残念です」
「ただ、後ろを振り返っていても仕方ありません。身体的にはジムでのトレーニングをこれまで以上に欠かさず、頭脳的にはトラックエンジニアとロガーデータを徹底的にチェックし、精神的にはイタリアのアパートに引きこもってスマホゲームとアニメとアニソンで気分転換を図ろうと思います(汗)」
と、冗談混じりに話せる余裕があるあたりに、まだまだ万璃音は高いモチベーションを維持しているように感じられた。実際、ミサノでは予選レースも決勝レースもアクシデントで後方からの追い上げを強いられながら、ペースの遅いドライバーを抜きつつトップ集団に肩を並べるラップタイムを記録。自信を持って臨んだミサノで結果は伴わなかったものの、16歳の高校生ドライバーが目線を下げてうつむくような内容ではなかった。
イタリアF4第2戦は5月6~8日にアドリア・インターナショナル・レースウェイで開催される。