いよいよ今週末からゴールデンウィークが始まる。慣れない生活の中で1か月間奮闘してきた新入社員たちは特に待ち遠しいのではないだろうか。しかも今年は有休を組み合わせれば最大で10連休にもなる。
だが、そんなに長期間休むとGW明けに仕事が憂うつに感じ、「五月病」になってしまうのではと恐れている人もいるかもしれない。そこで、五月病の対処法や予防策などを臨床心理士の尾崎健一氏に聞いた。
不眠や食欲不振の症状が1週間続いたら要注意
「そもそも、五月病とは医学的な病名ではありません。五月明けに表れる『やる気がでない、今までよりネガティブになる』といった気持ちの変化や、『だるい、頭痛、食欲不振』といった身体症状が出ることの総称を世間一般では五月病と呼んでいます」
しかし、正式な病名がないからといって軽く見てしまってはいけない。症状が改善されないまま放置し、いざ病院に行くと適応障害やうつ病と診断される可能性もあるのだ。
特に注意が必要なのは、「不眠、食欲不振、1日中気持ちが落ち込む」といった症状。これらの症状が2週間以上続くと、病院ではうつ病と診断される可能性が高まる。
「症状が1週間近く続くようだったら気にしたほうがいいでしょう。まずは会社を早退したり、休日を休息に充てるなど休むことが必要です。また、基本的でかつ効果の高い方法は、気分をリフレッシュするために仕事と関係ない人と話すこと。身内や愚痴のいえる、気の合う学生時代の友人なんかいいと思います」
こういった方法でも改善されない場合、病院に行った方がいいそうだ。
「失敗を恐れる人」は五月病になりやすい傾向
五月病になりやすいのは、やはり「新しい人間関係や環境の中にいる新入学生や新入社員」だという。覚えるべきことも多く、起床時間など生活のリズムも変わる。そういった変化による心身への負荷の蓄積が5月になって表れる。
中でも、一般的には「真面目で一生懸命、まわりに迷惑をかけてはいけないと頑張りすぎてしまうタイプ」がなりやすいと言われている。そこに、近年は「失敗を過度に恐れるタイプ」も加わった。
「今まで失敗の経験が少ない人は、失敗を恐れやすいものです。失敗しても問題が大きくなるまで相談できずに抱え込んでしまい、結果さらに落ち込んでしまう。最近では、多くの企業の人事担当者は、新入社員に『困ったことがあったら相談するように』と勧めています」
会社としての新入社員に対する5月病対策は、近年、新入社員研修の中にメンタルヘルス研修が積極的に導入され始めたことにも表れているそうだ。
会社が嫌になったら「誰かの役に立っていること」に意識をめぐらす
それでは、五月病にならないために出来ることはあるのだろうか。予防のポイントは主に4点。「よく寝ること(一般的に適切なのは7時間睡眠)」「栄養バランスの整った食事を摂ること」「人と話すこと」「仕事のことを忘れ、趣味やボランティア活動などに参加すること」だ。
また、連休に仕事を忘れて疲れを癒すのは大切だが、生活習慣のリズムが崩れると元に戻すのに時間がかかるため、区切りをつけて休むことが勧められている。
「例えば10連休なら最後の2、3日間は会社に行く時間に起床するのがよいでしょう。頭の中まで会社モードに変える必要はありません。長期休暇明けの初日は上司であってもなかなか適応が難しいもの。あくまで会社生活が出来る生活リズムに戻すという意識で連休の終盤を過ごしてみてください」
現在、尾崎氏は企業の人事や上司からメンタルヘルスに関する相談を受けている。やはり毎年5月になると、「新入社員がゴールデンウィーク明けに会社に来なくなる」「会社を辞めてしまう新人がいる」という話を聞くそうだ。
そこまでいかなくても、ストレスを抱えながら会社に行く人は多い。何か会社に向かう足取りを軽くする方法はないのだろうか。
「私がお勧めするのは『この仕事で役に立っていることは何だろう』と意識することです。自分が目の前の仕事をすることで、『誰が助かるか』や社会の『役に立つことは何か』を考えてみましょう。仕事は何か社会とつながっているはず。自分の仕事による貢献に焦点をあてるとストレスを乗り越えるエネルギーになります」
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