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“太陽の歌声”を持つシンガー登場! Leolaが発信する“ビーチ・ミュージック”はどう響く?

2016年04月28日 00:11  リアルサウンド

リアルサウンド

Leola

 波の音を感じるグルーヴィーなアコースティック・サウンドと、包容力のある伸びやかな歌声――話題のソロシンガー・Leola(レオラ)が4月27日、シングル『Rainbow』でデビューした。「Leola」とは、ハワイ語で“太陽の歌声”を意味する。表題曲「Rainbow」はそのアーティストネーム通り、悩みや悲しみを抱えた人々を温かく照らし、軽やかな足取りで海に連れ出してくれるような良曲に仕上がった。


 彼女は自身の音楽性を“ビーチ・ミュージック”と謳っているが、その楽曲は、いわゆる“サーフ・ミュージック”にはノりきれない――例えるなら、ひとりで海を眺めるような人たちも優しく包み込み、そっと背中を押すような言葉に満ちている。自身が作詞を手掛ける「Rainbow」では、<君の心は雨模様 晴らす事なんて出来ないけど せめてこの傘をどうぞ><その涙をすくい上げて 愛してもいいんじゃない?>と、誰にも伝わる、しかし独特なワーディングで、リスナーの心に寄り添っているのが印象的だ。ライブで軽快にノることができ、かつ癒やしを感じられるという意味で、まさに時代が求めるアーティストと言えるだろう。


 デビュー前に収録されたオフィシャルインタビューによれば、Leolaは歌が好きな母のもと、チューリップや井上陽水などのフォークソングを聴いて育った。小学校時代からは流行のJ-POPを聴くようになり、その後はシェリル・クロウやミシェル・ブランチなど、海外の女性シンガーソングライターにも深い関心を持つことに。同時に、懐かしいカントリーやフォーク、またサーフ・ミュージックもよく聴き、そのすべてが現在の音楽性につながっているようだ。洋楽的な抜けのいいサウンドに、懐かしさや心地よさ、強い個性と耳馴染みのよさがハイブリッドされた、新たなスタイルを確立している。


 楽曲に感じられるオーガニックなイメージも、彼女のなかから自然に湧き出たものだ。小学2年生の時、父の転勤で山の上の小さな町に引っ越し、田園に囲まれて育った。「小学校は全校生徒でも50人とか。 通学も、30分以上かかる片道 2.5km の道のりを下って登って橋を渡って…と みんなで歩いて通っていました」と、彼女は振り返る。道草は冒険だった――そんな言葉が印象に残った。「大雨とか山特有の変わりやすい天候や、生活圏にいる動物の生死がすぐそばにあったり、日常的に歩いているだけで新しい発見が目に飛び込んでくるような環境の中にいられたんだと思います」というLeolaは、そのなかで感性を磨いていったのだろう。都会で育ち、ボイストレーニングを重ねたシンガーたちと一線を画す何かが、彼女からは確かに感じられるのだ。


 楽曲のなかで切り取られているのは、誰にも共感できる風景だが、その根底には、大きなメッセージがある。大自然のなかで、「自分はちっぽけな存在だ」と感じてきたというLeola。しかし「そんな非力な自分もそこにあるものを守るひとりでいたい」と、芯の強さを覗かせる。オフィシャルインタビューで、Leolaというアーティストの本質がよく表れた言葉があった。


「人は自然とともに存在しなければならなくて、かといって文明というか、新しいテクノロジーを取り入れていくべきでもある。そう考えると、人を愛して、自然も愛して、発展していく社会も愛して、そのいずれへの愛も歌にして感じてもらえたら最高だと思います」


 悲しみにさえ愛を注ぎ、前向きな生き方を歌う「Rainbow」は、まさに彼女がアーティストとしての決意を示した一曲だと言えるだろう。ビーチに、田園に、都市部に、そんなLeolaの音楽がどう響いていくか――音楽ファンに新たな楽しみが生まれた。(文=橋川良寛)