スーパーGT300クラスに参戦するTeam TAISAN SARDは、5月3~4日に富士スピードウェイで開催されるスーパーGT第2戦に投入する新型アウディR8 LMSを、東京都内でお披露目した。
これまでスーパーGTで数多くのタイトルを獲得してきたチーム・タイサンと、GT500クラスのみならず、これまで国内トップカテゴリーで活躍してきたサード。そのふたつの古豪がタッグを組んで今季GT300クラスに参戦を開始したのが、Team TAISAN SARDだ。
チームは本来夏頃からの参戦を予定していたものの、今季年間での参加が義務づけられるシリーズにあわせ、急遽昨年使用されていた86号車R8 LMSウルトラを用意。第1戦岡山に参戦したが、ミッションのエアポンプが作動せず予選日は走れなかった。しかし日曜日になんとかパーツを調達し、決勝日朝のフリー走行でなんとかコースイン。決勝出走もかない、しっかりと完走して20位フィニッシュを成し遂げていた。
そんなTeam TAISAN SARDだが、第2戦に向け新たに新車のアウディR8 LMSを投入することになった。25日に日本に到着したばかりのシャシーナンバー49のアウディR8 LMSは、カーボン地むき出しの状態だったものの、26日にカラーリングを施行。この日のお披露目に間に合わせた。
いつも食事を楽しみながらお披露目するのがチーム・タイサンのスタイルだが、この日もそれは同様。東京・六本木のカフェ512にアウディR8 LMSが持ち込まれ、体制発表が行われた。この日はスーパーGTとともに、チーム・タイサンからアジアクロスカントリーラリーにスズキ・ジムニーで挑戦する篠塚健次郎/千葉英二組も会場に姿をみせた。
「ものの1週間の準備で開幕戦に挑みましたが、トラブルが多く結果的には20位でしたが、ドライバーたちがすごくがんばってくれた。一方、アウディの先輩チームは7位に入っている。この新車は勝つことができるクルマですし、そして勝つことができるドライバーたちを揃えることができた」と千葉泰常代表。
また、サードからチームに加わる近藤尚史監督/チーフエンジニアは「1973年にサードが初めてル・マン24時間に参戦したときのゼッケンが26番ですし、タイサンさんとはすごく縁があります。我々もGT300をやりたいと考えており、こうしてジョインさせていただけることになりました。長年ル・マンに挑んでいるチームですし、一緒にル・マンもやりたいと思います」と語った。
このアウディを駆るのは、長年タイサンのエースのひとりとして活躍してきた密山祥吾と、ポルシェカレラカップ ジャパン王者の元嶋佑弥という速さと経験を兼ね備えたふたりだ。
「僕が千葉さんに御世話になるのは今年で5シーズンめになりますが、まだ1勝をプレゼントできていないので、元嶋くんと力を合わせて千葉さんに勝利をプレゼントしたい」と密山が語れば、「名門チームからGTデビューできてうれしく思います。先輩ドライバーにも恵まれて、いい体制でデビューすることができました」と元嶋も力強く意気込みを語った。
また、第6戦鈴鹿1000kmでは、元F1ドライバーの中野信治がふたりに加わる。すでに今季のル・マン24時間参戦も決まっている中野は「ここ数年は年に1~2回しかレースしていないですし、ハコの経験もあまりない。大丈夫かなとは思いますが(笑)、レギュラーふたりはいいドライバーだし、良い成績を出せるようにしていきたい」という。
終始発表会はタイサンらしい和やかな雰囲気で進んでいき、会話のなかでいつの間にかドライバーふたりの目標は『2勝』に。この新車はこの後、密山のショップであるアデナゥに寄り、シート合わせやセットアップを行った後、鈴鹿でシェイクダウンをこなし第2戦に臨むことになる。実力派ドライバーふたり、そして古豪のチーム力ならば、2勝は決して不可能な数字ではないはずだ。