フェラーリ会長のセルジオ・マルキオンネは、デジタル化が進む現代において、F1はソーシャルメディアなどを視聴者の増加に十分活用できていないと批判している。
今月初旬、NFL(アメリカ・ナショナルフットボールリーグ)とツイッター社は2016年から10試合のライブ配信契約を数百万ドル(数億円)で締結。この発表から、ひと月も経たないうちにマルキオンネは上記の考えを示した。F1最高権威者のバーニー・エクレストンは急成長するデジタル市場の掌握に手を焼いており、1年半前には以下のような発言をしていた。
「ツイッターやフェイスブックといった、ナンセンスなものには興味がない。やってみようとはしたが、どうやっても私は古風すぎる人間なんだ。そこに何の価値も見だすことができなかった」
しかし先週火曜日(19日)に開催されたアドバタイジングウィーク・ヨーロッパで、エクレストンはこの認識が変わったことを認めている。
「理解できていなかった。人々は『若者はみんな使っている』と口々に言っていた。私は『でも若者はF1のスポンサーの商品を買ったりはしないだろう。それなら何の助けにもならない』と答えた。それが私の考えだったが、勉強して、その重要性に気がついた。あの時は助言された内容が、どうF1のためになるか、わかっていなかったのだ」
フィアット・クライスラー・オートモービルズのCEOでもあるマルキオンネは、F1にも、ようやくインターネットの時代がきたと考えている。
「この競技には、たくさんのエネルギーが必要だ。それは、どれだけの人数が献身的であるかと、金銭的な貢献の両方を意味する。視聴者が簡単にアクセスできない現状は恥ずべきものだ。実際のレースに誰もがアクセスできるように、ファンとの関わり方を変えるべきだ」
「正直に言えばF1のインターネット上の活動は、最先端とは言いがたい。やるべきことがあると、みんなが気づいており、やろうとしている。我々、メルセデス、ホンダやルノーといったエンジンメーカーは、F1が長期にわたって継続することを前提に活動している」
統治能力の欠如と不評に終わった予選フォーマットの変更が、最近のF1は悪化するばかりだというマルキオンネの考えに火をつけた。マルキオンネはF1のイメージがどれほど悪くなったかを調査し、二度と混乱が起こらないような取り組みをするべきだと言う。
「実際のF1は外から見るよりも一致団結している。この競技について、あれこれ言う者がいる場合には注意しなければならない。全チーム、ドライバーは今季の予選方法が無益なものだという考えで一致していたにも関わらず、開幕2戦で予選方式が論争を引き起こした。こんなトライ&エラーは不必要だ。もっと平和的かつ、水面下で解決することができたはずだ。すべての出来事には教訓があり、我々は学習しなければならない」