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マイナンバー、マイナス金利で「タンス預金」が人気、そのメリットとリスクは?

2016年04月26日 11:21  弁護士ドットコム

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銀行などの金融機関ではなく、現金を自宅で管理する「タンス預金」に注目が集まっている。


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報道によると、昨年秋、マイナンバー制度がはじまったころから売れ始め、前年の2倍の勢いで家庭用金庫が売れているホームセンターもあるという。



背景には、マイナンバーを通じて、政府に資産を知られるのではないかといった不安があるという。また、マイナス金利の導入によって、さらに銀行金利が下がり、手数料のことなどを考えると、「自宅で保管した方が得」と考える人が増えたことも影響しているとされている。



なぜ、マイナンバーやマイナス金利の導入で「タンス預金」が増えるのか。資産の管理方法としてどう評価できるのか。資産税の問題に詳しい松永容明税理士に聞いた。



●「タンス預金」はなぜ増えたのか?


「『タンス預金』のメリット・デメリットを考える前に、まず、なぜタンス預金に注目を集まっているのかを考えてみましょう。すでに指摘されているように、その原因としては『マイナス金利』と『マイナンバー制度』が導入されたことがあげられます」



松永税理士はこのように述べる。



「マイナス金利とは、ざっくり言えば、日銀が民間銀行からお金を預かるときに、利息を払うのではなく、お金の保管料を徴収するということです。



銀行が私たちから預金をしてもらう時に、マイナス金利を設定すると、だれもお金を預けてくれなくなるので、そのようなことはしませんが、マイナス金利の導入によって、これまでも低かった預金金利はさらに下がり、限りなくゼロに近い金利になっています。



私たちが、銀行にお金を預ける理由は、主に(1)金利収入、(2)公共料金等を支払い忘れ防止、(3)泥棒や自然災害から資産を守ることです。マイナス金利の導入によって、このうち(1)の期待は、ほぼゼロになったといえるでしょう。



また、2018年から銀行口座、証券口座にマイナンバーが付与されることになっています。これによって、税務署に財産を把握されてしまうことになります。たとえば、遠隔地に預金口座を作っても、簡単に税務署に預金額を把握されることになるでしょう」



●盗難、火事、自然災害による「逸失リスク」がある


「『タンス預金』によって、税務署からプライバシーを守れるといったメリットはあるでしょう。しかし、一方で、盗難、火事、津波等の自然災害によって財産を失ってしまうリスクがあります。あと、当たり前ですが、資産が増えることもありません。



それでは、税務署からプライバシーを守れて、なおかつ、盗難、自然災害等から財産を守れる手段はあるのでしょうか?



それは、マイナンバーとの『ひも付き』がないこと、取引の相手方が信用できる者であること、あるいは現金、金などの現物資産に転換する。そして、万が一の時に、すぐに現金に換金できるものはなにかということです。



思いつくままに述べると、海外金融・不動産投資、REIT(不動産投資信託、ただし、国内ものは証券会社経由なのでダメです)、金投資、銀行の貸金庫等などです。



4月1日の『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、アメリカでの預金監視強化の動きに対して、『米政府が最も目を光らせておきたい個人や団体などと共に、罪のない人までも金融システムから追い出されている。これは米政府も予測しなかったこと』と書いています。日本でもその懸念が妥当しそうです」



松永税理士はこのように述べていた。


【取材協力税理士】


松永 容明(まつなが・ひろあき)税理士


東京国税局出身、トーマツ税理士法人、UBS信託銀行を経て、独立。慶応大学、筑波大学院、豪州BOND大学MBA、国際税務・資産税に特化。


事務所名   :松永容明税理士事務所


URL:http://www.bantohd.jp/


(弁護士ドットコムニュース)