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新・東京五輪エンブレムデザイナー野老朝雄とは?制作の裏側を探る

2016年04月25日 21:52  Fashionsnap.com

Fashionsnap.com

野老朝雄氏 Image by: FASHIONSNAP
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の公式エンブレムに、最終候補4作品のなかからA案「組市松紋(くみいちまつもん)」が採用された。デザインを手がけたのは、アーティストの野老朝雄(ところ・あさお)氏。発表会では、作品の意味や制作の裏側が語られた。

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 野老朝雄氏は1969年5月7日生まれ。東京造形大学建築専攻を卒業後、ザハ・ハディドやリチャード・ロジャースらを輩出したロンドンのAAスクールに留学したほか、建築家でアーティストの江頭慎氏に師事し、建築やアートの分野で活躍している。アメリカ同時多発テロ事件以降、幾何学パターンの"トコロ柄"や"トコロ紋"と呼ばれる紋と紋様を制作し続け、代表作「トコロ柄マグネット」は2006年に新日本様式100選に選ばれた。近年は「バオ バオ イッセイ ミヤケ(BAO BAO ISSEY MIYAKE)」とコラボレーションしたアイテムを発表し、今年3月にオープンした大名古屋ビルヂングでは下層部のファサードガラスパターンを手がけた。
 「国民参加」と「透明性」をテーマにした一般公募から選ばれた野老氏は、「アスリートにはなれないが、金メダルを作ることに関われること。子どもの頃からあったオリンピックの憧れを叶えられる機会だと思った」と"オープンな選考"に切り替わったことを機に応募したという。約1万5,000件の応募作品から抜擢された「組市松紋」は、市松模様のパターンに日本の伝統色である藍色を配し、粋な日本らしさを表現。藍色一色のデザインについて「日本らしい」という声があった一方で「地味」「シンプルすぎる」などの意見もあったが、野老氏は「江戸小紋のような潔い表現がしたかった。夏の大会なので、涼しげな色がいいのではと思った」と意図を述べた。「平等の精神」を表現するため、オリンピック・パラリンピックのエンブレム共に形の異なる3種類の四角形をそれぞれ45個配置。小紋の基本的な輪の形に自身の作風を落とし込み、「繋がる」イメージに仕上げた。今後のデザインの展開については、平面に留まらず立体化も応用の一つとして検討しているという。東京2020エンブレム委員会委員長の宮田亮平氏は「国内だけではなく世界中から支持を得て、東京大会のシンボルとなり末永く愛されて欲しい」と期待を示した。