レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーによると、F1のエンジンマニュファクチャラー4社は、いまだに将来のレギュレーションの枠組みを決められていないという。
メルセデス、フェラーリ、ルノー、ホンダの4社は、価格引き下げ、供給の保証、サウンドレベル、性能の均衡化について、4月末までに最終的なプランをFIAに提出することになっている。だがホーナーは、この期限は守られないだろうと考えている。
ホーナーは、とくにメルセデスのトト・ウォルフを名指しで批判した。ウォルフは、このプランを策定するエンジンマニュファクチャラー委員会のリーダーを務めているからだ。
「課せられたタスクに関して、要求された条件をひとつも達成できそうにないことが、彼(ウォルフ)にはわかっている」と、ホーナーは言う。
「話し合いが行き詰まり、期日(4月30日)が過ぎるまで時間稼ぎをしている雰囲気が濃厚だ。マニュファクチャラーが見返りとして求めているのは、向こう5年間はエンジンのレギュレーションを変えないという約束だが、条件が満たされない限り、商業権保有者(バーニー・エクレストン)やFIAはエンジン規定の安定性を保証しないだろう」
「彼らが合意できないのであれば、つまり供給価格が下がらず、性能も均衡化せず、供給が保証されないのであれば、条件が満たされたことにはならない」
次のストラテジーグループとF1委員会の会合で、4社が合意に達することができなければ、FIA会長ジャン・トッドとエクレストンは再びインディペンデント・エンジンの導入に向けて動き出す、とホーナーは考えている。
「価格、入手可能性、性能の均衡の問題を解決するには、(インディペンデント・エンジンの)ほかに、どんな方法がある? これは非常に大きな問題だ。このところレースの内容は良くなっているが、エンジンに関する基本的な問題は何も解決されていない。(次の会合で)どういう話になるのか、興味深いところだね。これからの1週間で、まとまるような話だとは思えないが」
これに対して、ウォルフは、メルセデスと他の3社はまもなく合意できると断言した。
「あと一歩のところまで来ている。おおむねの合意はできているが、各社の関係筋の承認を得る必要があるんだ。内容は大部分のチームにとってメリットのあるものなので、成立する見込みは高いと思う」
また、マクラーレンのレーシングディレクターであるエリック・ブーリエもウォルフの見解を支持して、こう語った。
「まだ文書にまとまったものは何もないが、(4月18日にパリで開かれた)会議では良い討論ができた。その席でもクリスチャン(ホーナー)は不機嫌だったし、こうして外部に向けても不満の声を上げている。だが、少なくともホンダ、ルノー、フェラーリ、メルセデスの間では進展が見られた」
「まだ文書の草案もないし、合意して署名をかわしたわけでもない。ただ、話し合いは前向きで建設的なものだった」