2016年04月24日 07:01 リアルサウンド
2016年1月の解散騒動以降、改めて圧倒的な存在感を示したSMAP。「国民的アイドル」と呼ばれるスターは数多くいる中、なぜSMAPは私たちの生活に大きなインパクトを与えるのだろう。
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それは、単純にバラエティ番組の視聴率や、CDの売上などではなく、日本人としてのアイデンティティの部分に強く訴えかける動きがあるからなのではないか。
「今できることは何か」を常に考え、ファンに対してはもちろん、日本全体に元気や勇気を与えていく。それこそが、アイドルの使命なのだという姿勢が、SMAPの活動から伝わってくるのだ。
<契機となった阪神大震災>
1995年の阪神大震災の直後、『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に出演したSMAPは、新曲を披露する予定を急遽変更。黒いスーツに身を包み、被災された方へのメッセージと共に「がんばりましょう」を歌った。
どこまでが自分たちの意思なのか、その真相を知ることはできない。しかし、予定調和のキラキラとしたアイドルとしての姿を見せるだけではなく、苦境の中にいる人を思って心を痛めたり、一緒に頑張ろうと思いを投げかけるSMAPの言動は、大きな感動を呼び、人々の心を癒した。
<5年以上続く、東日本大震災からの復興呼びかけ>
そして、2011年の東日本大震災。アイドルとしてもキャリアを築き、芸能界での大御所とも言われるまでに成長したSMAPは、『東日本大震災 復興支援財団』の発起人にも名を連ね、多額の義援金を寄付をしている。
ジャニーズ事務所に所属するタレント全員で行なうチャリティープロジェクト『Marching J』にも積極的に参加。2011年でデビュー20周年を迎えたSMAPは、収録曲をファン投票で決めた『SMAP AID』を発売。その売上げの一部も、東日本大震災の義援金として寄付された。
さらに、冠番組『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)では、緊急生放送を実施。そして、特筆すべきは震災から5年以上にわたって、現在も毎回支援金の募集コメントを放送していることだ。その映像は、定期的に収録され直していることがわかり、彼らの「風化させたくない」という意思が伝わってくる。
並んで、チャリティーコンサートにも積極的に参加したSMAP。彼らが歌う「not alone ~幸せになろうよ~」は、多くの人々の心の支えになったことだろう。(同曲は2011年リリース。震災の影響を考慮し、CDではなく配信限定シングルというかたちでの初リリースとなった。着うたフルでは、1ダウンロードにつき100円を寄付)
<そして今年、熊本地震にもメッセージがーー>
ジャニーズ事務所の公式サイト『Johnny's net』では、SMAPのページに『MESSAGE』のリンクが。クリックすると、「頑張ろう、みんな!!!」 で締めくくられているSMAPからのメッセージが出現する。これは、2011年東日本大震災のときにも掲載されたものだ。当時も今も、この言葉に励まされた人は多いのではないだろうか。
東日本大震災のときに比べると、またSMAPを取り巻く環境は大きく変わった。これまでのように、SMAPが「こうしたい」という熱意をストレートに伝え、行動することが難しいタイミングかもしれない。 だが、私たちはそれでも信じたいのだ。SMAPという存在の持つパワーを。自分ひとりでは何もできないけれど、SMAPが多くの人々を笑顔にするため活動する姿を応援することで、何かしらの力になれているのだと実感したいのだ。
私たちがSMAPに求めていることは、もはやアイドルという枠を超えているのかもしれない。“日本の善意の象徴”ーーそういっても、決して過言ではないのではないか。SMAPに限らず、何か行動を起こす人に対して、必ずネガティブに見る人はいるだろう。しかし、それを恐れていては何も変わらない。「今できることは何か」できる範囲で行動を起こすこと。その勇気をいつでも与えてくれる、それがSMAPという存在なのである。
※被災された方々に、心よりお見舞い申し上げます。被災地の1日も早い復興を願います。(佐藤結衣)