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EXILE TRIBEが提示する新しいドラマのかたち 集団抗争描く『HiGH&LOW Season2』への期待

2016年04月23日 21:31  リアルサウンド

リアルサウンド

『HiGH&LOW Season2』公式サイト

 EXILE、三代目 J Soul Brothers、GENERATIONS、E-girlsなど、EXILE TRIBEのメンバーが総出演するドラマ第2弾『HiGH&LOW Season2』(日本テレビ系)が、4月23日(土)深夜1時10分よりスタートする(一部地域では放送日時が異なる)。2015年に放送された『HiGH&LOW ~THE STORY OF S.W.O.R.D.~』の続編で、映画やマンガ、ライブなどと連動して展開する総合エンターテインメントプロジェクトの一環となる作品だ。今シーズンからはBIGBANGのV.Iが出演することも発表され、さらに注目を集めている。


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 シーズン1では、不良チームが集まるSWORD地区を舞台に、コブラ(岩田剛典)、ヤマト(鈴木伸之)、ノボル(町田啓太)の友情を軸に、コブラの「山王連合会」、山田裕貴演じる村山良樹の「鬼邪高校」、黒木啓司演じるROCKYの「White Rascals」、窪田正孝演じるスモーキーの「RUDE BOYS」、林遣都演じる日向紀久の「達磨一家」、中村達也演じる家村の闇組織「家村会」の戦いが描かれた本作。ドラマ評論家の成馬零一氏は、その魅力を次のように評する。


「AKIRA主演の『GTO』(関西テレビ、フジテレビ系)やTAKAHIRO主演の『ワイルド・ヒーローズ』(日本テレビ系)など、これまでEXILEメンバーが出演するドラマはいろいろとありましたが、どれも彼らの一番の強みである“身体性”と“集団の動き”を活かしきった作品ではありませんでした。しかし本作は、LDHを率いるHIROが企画・プロデュースを手掛けていることもあり、彼らの魅了を存分に打ち出すことに成功しています。アクションシーン、とりわけ大人数で抗争を繰り広げるモブシーンは圧巻で、ただ人数が多いというだけではなく、一人ひとりがちゃんと演技をして、奥行きのある映像に仕上げています。日本のドラマはもちろん映画でも滅多にお目にかかれない手法で、すごく豪華です。また、ビジュアルもド派手で、良い意味で現実離れした無国籍な世界観を築いているのも注目すべきポイント。スタンリー・キューブリックの『時計じかけのオレンジ』を彷彿とさせるようなビジュアルのチームが近未来的なクラブを仕切っていたり、無名街と呼ばれるスラム街を拠点とするグループが薬物製造に手を染めていたり、いろんな要素を取り込んだ箱庭的な世界観は、どちらかというと漫画やゲームのそれに近い印象です」


 一方で、人によって評価がわかれる作品でもあると、同氏は続ける。


「彼らの長所を活かしている反面、登場人物が多すぎることもあってか、ストーリーがわかりにくい部分もあります。脚本はTeam HI-AXという脚本家集団が共同で手掛けているのですが、派手な見せ場を次々と繋ぐように描いている印象を受けました。日本のドラマは良くも悪くも作家主義が強く、ひとりの脚本家が描ききるのが普通です。だからこそ、セリフの内容や人間関係の描き方が評価の対象となりがちで、そういった観点から見ると本作はあまり良く出来た作品とはいえないかもしれません。おそらく、正当な評価を得るのはまだ先になるでしょう。しかし、セリフや人間関係だけがドラマのおもしろさではないはずで、『HiGH&LOW』が集団の抗争を描いてビジュアルのおもしろさを追求したことは、少なくとも日本のドラマ界における新たな試みではありました。テレビ局主導ではないからこそ生まれた企画で、タレントの長所を活かすという意味では、良いシステムなのかもしれません。ミュージック・ビデオを観るように、感覚的に楽しむのをお勧めしたいですね」


 不良チームが出揃い、壮大なスケールを感じさせたシーズン1に続き、彼らの物語はどこまで加速するのか。成馬氏が「このままの勢いで独自の路線を突き詰めてほしい」と期待するように、映画や漫画も含めて、さらに飛躍した世界観を提示してくれることを願いたい。(リアルサウンド編集部)