トップへ

欅坂46、異例の『Mステ』スピード出演へ グループの特色から快進撃の理由を紐解く

2016年04月22日 16:01  リアルサウンド

リアルサウンド

欅坂46 『サイレントマジョリティー』TYPE-A

 欅坂46が、4月22日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に初出演し、デビュー曲「サイレントマジョリティー」を披露する。


 秋元康氏が総合プロデュースを手掛ける“AKB48グループ”や“坂道シリーズ”において、デビュータイミングでの『ミュージックステーション』出演は初めての快挙。また、デビュー曲「サイレントマジョリティー」のMV再生回数は4月20日時点で650万回を突破している。先日発表された2016年04月04日~2016年04月10日のCDシングル週間ランキング(2016年04月18日付・ORICON STYLE)(参考:http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/2016-04-18/)では、発売初週に261,580枚を売り上げ、女性アーティストのデビュー・シングルの初週売り上げ枚数記録を更新した。


 なぜ、欅坂46はデビュータイミングからここまで大きな盛り上がりをみせているのだろうか。『「アイドル」の読み方: 混乱する「語り」を問う』の著者であるライターの香月孝史氏は、グループが快進撃を果たした理由のひとつとして、“コンセプトの強さ”をスタート段階から明確に示したことを挙げる。


「欅坂46がデビュータイミングから多くのファンを獲得したのは、グループが明確なコンセプトを打ち出し、それに沿った形で洗練されたMVや楽曲、振付や衣装等のビジュアルにまで統一感をもたせたクリエイティブを発表したことが大きいと考えられます。とくに反響の大きかったのが『サイレントマジョリティー』のMV公開タイミングですね。同曲のMVはシリアスな楽曲と詞のテーマ性に強く関連づけたコンセプチュアルな振付、再開発中の東急東横線渋谷駅というロケーション等によって緊張感を保った映像に仕上がっているため、グループの成り立ちやメンバーのパーソナリティといった“文脈”を知らない層に向けても、MV単体でその魅力が伝わりやすいものになっていました。その結果、650万回という再生数を叩き出し、アイドルファン以外にも広く訴求し、この快進撃が生まれたといえるでしょう」


 続けて同氏は、“AKB48グループ”と“坂道シリーズ”におけるコンセプトの違いが、欅坂46におけるクリエイティビティの洗練を生んでいると分析した。


「AKB48の姉妹グループは、これまで開拓していなかった新たな土地に常設劇場を持って連日ライブを行ない、それぞれの地域に根差した活動で、既存の48グループファンも巻き込みつつ徐々に人気を獲得していける強みがあります。一方、“坂道シリーズ”には常設劇場がなく、特定の土地を拠点にグループを展開していくことがありません。地域や“現場”を強みにすることが少ないぶん、テレビなどマスメディアが主戦場となることが多く、また独特の楽曲や映像作品、ファッション方面などオリジナルの得意分野の開拓によって、グループの基本カラーやコンセプトといった“らしさ”を強く作り上げる傾向にあります。乃木坂46は結成から5年近くの月日をかけて、そうしたカラーやブランディングを完成させてきました。今の“坂道シリーズ”には乃木坂46の成果で培った、ブランディングへの強い志向やノウハウがすでに蓄積されているため、欅坂46は最初からその強みを駆使してコンセプトを洗練させることができているように思います。そのため、1stシングルにしてここまで完成度の高いアウトプットを打ち出すことができたのではないでしょうか」


 また、『ミュージックステーション』初出演にあたって、香月氏はトークとパフォーマンスのギャップに注目してほしいと語る。


 「デビュータイミングなのでトークにはまだ若干不安はあるものの、曲が始まると途端にクールな表情へと変貌する彼女たちを見て、そのギャップにグッとくる視聴者も多いのではないでしょうか。そのギャップを実現するにふさわしい楽曲を初出演でパフォーマンスできることは、最初のインパクトを見せるうえで大きいと思います。また、詞の世界を集団の動きとして体現する特徴的な振付が見どころになっているため、番組中にはカメラワークにも注目したいところです」


 快進撃を続ける欅坂46は、『ミュージックステーション』でさらなるブレイクへと踏み出すのだろうか。番組の放送を楽しみに待ちたい。(中村拓海)