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マルシャ、商標権使用侵害でマノーを告訴

2016年04月22日 14:41  AUTOSPORT web

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2016年F1第3戦中国GP リオ
マルシャはマノー・グランプリレーシングに対し、チームが2015年に商標を使用したことが権利の侵害に当たるとして略式裁判を起こしていたが、この訴えは退けられた。 

 マルシャは2014年第17戦アメリカGPを前に破産申請を行い残りの3戦を欠場、チームは消滅寸前だったが、投資家の手により土壇場で救済され2015年の名前を「マノー・マルシャF1チーム」としてエントリーを行っていた。この際、チーム国籍はロシアからイギリスに移っている。

 マルシャはマノーのチーム及び車体に商標の使用許可を与えていたものの、これは2014年12月31日で効力を失っているという内容が、法的文書に記されている。さらにマノーは2015年、財政危機から立ち直った後も「マルシャ」をF1チームと車体の名前として使用し続けていたことにも触れている。もしF1商業権保有者の同意なしに車体名の変更をした場合、マノーは前年度の成績に基づいて分配される賞金を受け取る権利を失うことになる。

 マノーはこれに対して5つの見地から反論している。ひとつは商標の使用が「暗黙の了解」であるということ。そしてマルシャは商標権保有者として権力を行使することはできないという見解が、ふたつ目。

 3つ目は、欧州共同体商標規則の第9条(共同体商標により付与される権利 )1の(b)には「商品又はサービスの同一性又は類似性のために、公衆の側に混同を生じる 」場合には商標所有者に排他権があるとしているが、今回の商標の使用はこれには当たらないというもの。4つ目は、同条の(c)に「共同体商標が共同体において名声を得ている場合 」とあるが、マルシャの商標にはこれがないとしている。


 さらに第12条(共同体商標の効力の制限)には、第三者が商標を「工業上又は商業上の誠実な慣行に従い使用する」場合は、所有者に使用を禁止することはできないとあり、これを5つ目の反論とした。

 イングランド・ウェールズ高等法院の裁判官は、マノーは原告の商標使用に原告側の同意があったことの証明はできていないとの結論を出している。また、マノーがこれらの無罪を主張したい場合は保証金を支払う必要があり、その金額は175万ポンド(約2億7千万円)になるという。マノーは前述の3から5の項目について、無罪を主張するかどうかを決めなければならない。

 チームは声明文の中で、マルシャの訴えを「憶測である」としており、スポークスマンは以下のように語っている。
「マルシャは2014年、チームを危機に陥れた。我々は、チームと車体を確保するために努力をしてきた。これについては難なく承諾されたが、おそらく彼らは我々がチームを立て直して再度参戦するとは思っていなかったのだろう。けれども今になって、彼らは憶測で訴えを起こした」

 文書には原告が「詐称」で訴えたとあるが、これについては触れられていない。また、被告は支払いを拒否された52万ポンド(8100万円)のスポンサー費用について、反訴の準備があるとも書かれている。