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PerfumeはPerfumeとして確固たる位置に居続ける--新作のチャートアクションから考えるグループのブレなさ

2016年04月21日 14:21  リアルサウンド

リアルサウンド

Pefume『COSMIC EXPLORER』

参考:2016年04月11日~2016年04月17日(2016年4月25日付)(ORICON STYLE)


 氷室京介、BOOWY時代も含めた初のオールキャリア・ベスト・アルバム『L’EPILOGUE』が1位です。若い方たちも「誰それ……」と言わずにこのまま読んでください。


 80年代に彗星のごとく現れ、日本のロックシーンの潮流を変えたのがBOOWYであり、その中心たるカリスマ・ヴォーカリストが氷室京介でした。その後のバンドブームの火種になったのも彼らであり、BOOWYの影響(あるいはBOOWYフォロワーの影響)を受けた人たちが、今でも第一線で活躍しているのが現状です(V系にしろ、ギターロックでも、パンク畑であっても「きっかけはBOOWY」と語る人たちのなんと多いことか!)。そんなバンド知らないという平成世代の音にだって、実はDNAレベルで組み込まれているのです。


 しかし当人たちは否応なく年をとっていく。現在55歳、これから始まり5月まで続くコンサートを「LAST GIGS」と題している氷室ですから、これが本当に最後だという覚悟もあるのでしょう。BOOWYの再結成はついぞ叶わなかったし、彼の勇姿をこの目で見ることももうできなくなる。それを惜しむ50~40代の涙の結晶がこの1位を作り上げた。1995年以降は渡米してほとんどメディアに出なくなった人ですが、それでも初登場にして85,051枚の数字。やっぱり凄いなと痛感します。


 同じくらいの凄さを感じさせるのが4位のPerfume。今週は18,448枚なので「大したことなくね?」「もうピークは終わってね?」と言い出す人もいるだろうけど、先週のチャートでは初登場1位で122,732枚と素晴らしき安定を見せています。確かにピークという言葉は今じゃない。ドキドキするようなブレイクの季節は過ぎている。だけど、もはや一過性の流行で終わる感じがしない。そしてPerfumeに憧れた若手がいろんな場所から出てきているけれど、PerfumeはPerfumeとして確固たる位置に居続ける。そんな予感がします。


 新作『COSMIC EXPLORER』に、特別な驚き要素はありません。ただ、それが刺激のないマンネリだとも思わない内容です。このままPerfumeというカタチがあって欲しい。あの3人の綺麗なフォーメーションを、中田ヤスタカのアイディアに毎度ぴたりとハマってみせる彼女たちの仕事ぶりを、ずっとずっと見ていたい。誰も独り歩きしないメンバー及び楽曲を確認し、そんなふうに感じるようになりました。これは決して個人的感慨ではないでしょう。


 話は冒頭に戻りますが、BOOWYには有名なロゴマークがあります。5人のメンバーが影となって重なりあい、左右に弦楽器のネックが出ているもの。氣志團が愛をこめてパクったロゴといったほうが伝わりやすいかも。そうして「このアーティストといえばあのロゴ、あのマークが脳に浮かぶよね」というレベルに達しているのが、今のPerfumeなのでしょう。彼女たちにロゴはないって? いやいや、のっち、あ~ちゃん、かしゆかの3人が揃えば、それはもうPerfumeというロゴです。これに異論はないでしょう。(石井恵梨子)