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嵐、関ジャニ∞、NEWS……「和」テイストのジャニーズ楽曲はなぜ増えている?

2016年04月21日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

(C)タナカケンイチ

 昨今、日本の音楽シーンはK-POPやEDMが流行しており、電子音が用いられる事が非常に多い。ジャニーズの中でもKis-My-Ft2をはじめ、ジャニーズWESTやKAT-TUNなど、K-POP風・EDM風の楽曲を発表しているグループが多々ある。しかし、それとは逆行するように「和」をテーマにした楽曲も多く発表されている。今回は、ジャニーズの曲の中で「和」をテーマにしている曲をご紹介していきたいと思う。


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■嵐「心の空」


 嵐の14枚目のアルバム『Japonism』のリード曲である「心の空」の作詞・作曲・編曲は、布袋寅泰が手がけている。和太鼓や三味線などの和楽器をふんだんに取り入れつつも、布袋のギターをアクセントにしたまとまりのある和風の楽曲に仕上がっていると思う。MVではメンバーが和装に身を包み、魅力をあますところなく発揮している。中でも注目したいのがダンスである。出だし部分やサビ部分、間奏部分などは、関ジャニ∞の『キング オブ 男!』を彷彿させる男らしさを全面に出し、力強いダンスを5人全員で踊っている。一方、メロ部分は繊細な音作りに合わせるかのような優雅なダンスを見ることができる。指先まで神経を使った手の振付けで、さながら女形の舞のようでもある。1曲の中で2つの表情を見て取れる「心の空」は、器用に何でもこなしてしまう国民的アイドル・嵐だからこそ表現できる和が隠されているのだろう。


■関ジャニ∞「韻踏ィニティ」


 コンサート『関ジャニ∞の元気が出るLIVE!!』では「WASABI」と共にダンス曲として披露され、多くのファンの目を釘付けにした「韻踏ィニティ」。全体を通して電子音やギター音が目立つ曲ではあるが、ポイントとして琴が使われていたり、歌謡曲テイストなメロディーラインが付けられているなど、「和ロック」とも言える仕上がりになっている。「韻踏ィニティ」といえば、その歌詞にも注目が集まった。曲の出だしから「エイター」とファンへの呼びかけがなされており、<俺んとこ来いや 行かんといて 浮気お嬢さん!!>という歌詞が続く。これが「他のグループに担降りしないでほしい」という関ジャニ∞からのメッセージなのでは? と話題を呼んだのだ。ロック・エレクトロ・和・メッセージ性が詰まった「韻踏ィニティ」は、ワチャワチャした関ジャニ∞らしい楽曲と言えよう。


■NEWS 「KAGUYA」


 サッカーとのタイアップ曲が続いていたNEWSが、2015年の年明け早々に発表した「KAGUYA」。これまでの楽曲とは一転し、大人の色気が溢れる曲で、写真家・蜷川実花が手掛けたMVでジャニーズファン以外にも広く知られた。ついついMVに評価が行きがちだが、曲の構成も面白いものになっている。全体を通して琴や三味線などの和楽器を使って和のテイストを出しつつも、ダンスミュージックを融合していたり、シンセサイザーを使ってスベーシー感を表現していたりするのだ。ネット上では「和風EDM」とも評され、NEWSの可能性を広めた一曲と言えるだろう。また、2015年に行なわれたコンサート『NEWS LIVE TOUR 2015 WHITE』ではスクリーンを使った演出がなされ、PV通りの世界観を表現。セットリストの中盤に大きな転換ポイントを作り、ファンを飽きさせない工夫につながった曲である。


 他にもKis-My-Ft2が「SHE! HER! HER!」を和楽器Remixしたり、Hey! Say! JUMPの「愛よ、僕を導いていけ」やA.B.C-Zの「Moonlight walker」のように歌謡曲テイストの楽曲が発表されたり、昨年からジャニーズは日本らしさを全面に押し出しているように感じる。これは音楽シーンを盛り上げているK-POPやEDMへの対抗馬であると考えられるし、オリンピックに向けて音楽シーンから日本を盛り上げているとも考えられる。今年はどんなジャニーズらしい楽曲が聞けるのだろうか。ますます目が離せない。(高橋梓)