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分析:ターボに弱点を抱えるフェラーリ、パワーを犠牲にして制御する苦肉の策を採用か

2016年04月20日 15:51  AUTOSPORT web

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オーストラリアGPでトラブルに見舞われたキミ・ライコネン
不思議なことにF1中国GPの時点で、フェラーリSF16-Hの外観は、いまだにあまり変化がなく、ほぼテストを終えたときのスペックのままだ。これは彼らが、ひとまずパワーユニットの改良に全力を傾けていることの証明かもしれない。 

 アップデートされた2016年仕様のパワーユニットは、また一歩メルセデスに近づいてはいるものの、ターボに弱点を抱えているようだ。ターボのトラブルはテスト中に一度、そしてオーストラリアGPでもキミ・ライコネンのマシンに発生しており、どうやらフルスピードで回し続けるとターボに過大な負荷がかかってトラブルを起こしやすいようだ。このためフェラーリは、トップスピード付近でのターボの負荷を減らす方向でパワーユニットをデチューンしている。 

 具体的には、ストレートエンドまでターボを高回転で回し続けることなく、MGU-Hを使ってターボの回転数を抑え、負荷を減らしながらES(エナジーストア=バッテリー)の充電もしているらしい。こうした制御によって、ストレートエンドでのパワーが若干犠牲になるのと引き換えにターボを守り、またERS(エナジー・リカバリー・システム)が他の場所で使えるエネルギーも稼ぐことができる。

 予選の1周だけなら、このような制御は必要ない。だが、レースで繰り返し負荷がかかるとターボの信頼性に不安が生じるため、フェラーリはピークパワーを意図的に抑えた状態で戦わざるをえないのだ。

 ちなみに、バーレーンGPのフォーメーションラップでセバスチャン・ベッテルのマシンに起きたエンジントラブルは、ターボに起因するものではなく排気バルブの破損だった。この問題の再発を防ぐために、フェラーリは電子制御とフォーメーションラップでの手順を変更している。