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粒ぞろいのドライバーが次代への覇権を争う。今年の全日本F3は大注目!

2016年04月19日 22:51  AUTOSPORT web

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山下健太(ZENT TOM'S F312)
いよいよ4月21~24日、鈴鹿サーキットで2016年の全日本F3選手権が開幕する。今シーズンはさらにレベルが高い戦いが予想されており、すべてのレースで激しい戦いが展開されそうだ。

●まわりは皆ライバル。未来へ向けて勝ち抜くのは誰だ。
 今シーズンの全日本F3は、開幕ラウンドの鈴鹿を皮切りに全8大会が予定されている。開幕鈴鹿のエントリーを見ると、全16台がエントリー。そのうち現行規定車は11台が参戦する。

 そのなかで、昨年からの継続フル参戦は山下健太(ZENT TOM'S F312)、石川京侍(TODA FIGHTEX)、山口大陸(タイロク・エクシード28号)の3人。近年多くのチャンピオンを輩出してきた名門トムスから、3年目のF3参戦となる、昨年2位の山下が今シーズンの中核となりそうだが、ふたり(開幕2戦は3人)の強力なドライバーを揃えるB-MAX Racing Team with NDDPが、山下に待ったをかけそうなのだ。チームは今季、GT500ドライバーの千代勝正と、ヨーロッパで高い評価を得てきたGTアカデミー出身のヤン・マーデンボローを起用。開幕2戦では、GT500ドライバーの佐々木大樹がこれに加わる。

 興味深いのは、B-MAX Racing Team with NDDPの使用エンジンだ。高星明誠とルーカス・オルドネスを起用していた昨年は、同じトヨタ・トムスTAZ31エンジンを使用していたが、今季は新たに、ヨーロッパで実績あるスピースチューンのフォルクスワーゲンA41エンジンを使用。オフテストの段階では、「トラブルもないし、フィーリングもコントローラブル(千代)」と、さすがの実力を披露している。

 山下は岡山や鈴鹿のテストで好タイムをマークし、「悪くないフィーリング」と開幕に向けて準備を整えている様子だが、2年目のF3で、間違いなく結果が求められるところ。当然、千代もひさびさのF3フル参戦で結果が求められ、スポット参戦とは言え佐々木もこれは同様だ。マーデンボローも、日本の地で大暴れしてニッサン/ニスモ首脳陣にアピールしておきたいはず。ルーキーではない“結果”が求められるドライバーたちにとっては、全員がライバルだ。彼らの戦いに期待せずにはいられないだろう。

●期待の若手が続々登場。“セナ”の名をもつ高校生ドライバーも
 一方、今シーズンは選り抜きのルーキーたちがF3を盛り上げてくれそう。昨年からスタートしたFIA-F4では、次代を担うドライバーたちの素晴らしい戦いが展開されたが、そのランキングトップ3を獲得したドライバーたちがF3に揃い踏みする。初代FIA-F4王者の坪井翔(ZENT TOM'S F314)、坪井と骨肉のタイトル争いを展開し、最終戦もてぎでは大バトルも展開した牧野任祐(TODA FIGHTEX)、高い安定感でポイントを獲得し続けた大津弘樹(HFDP RACING F312)の3人が、そろってF3に昇格してきた。

 いずれもトヨタ、ホンダの期待を担うドライバーたちだが、当然牧野は坪井に“リベンジ”を狙っているはずで、大津もそれは同様だろう。また、坪井はF4王者、そしてF3王者をステップに、さらに上を狙っているはず。いずれのドライバーたちも体力面等はこれまでのテストでもまったく問題がなさそうで、坪井、牧野はテストでも上位に食い込むタイムをマークしている。それぞれのドライバーたちと組む山下、石川京侍にとっても、“ルーキー”には負けられない。FIA-F4上がりのライバル同士、そしてチームメイト同士の戦いにも目が離せない。

 また、これまで松下信治、福住仁嶺をヨーロッパに送り出してきたHFDP RACINGからは、新たに非常に注目が集まるドライバーが参戦する。ホンダも大いに期待をかける阪口晴南(HFDP RACING F312)だ。親子3代で故アイルトン・セナのファンという家に生まれた阪口は、幼少期からカートのチャンピオンを数多く獲得してきており、昨年限定AライでFIA-F4にデビュー。なんとまだ弱冠16歳の高校生だ。今季は限定AライでF3とFIA-F4に参戦。カートとは異なるレースでの駆け引きを身につければ、松下や福住に続く道も開けてくるはず。ただ、HFDPは大津、阪口ともルーキーだけに、ときには協力し合ってチームのセットを進める必要もあるだろう。
 2年目以上の参戦となるドライバーたちに対して、将来を期待されるルーキーたちがどう“かみついて”くるのか。今季のF3はそんな構図も見え隠れする。

●どのドライバーにとっても勝負の1年。開幕戦から目が離せない
 また、今年は女性ドライバーとしても注目を集める三浦愛が、総合優勝を争えるダラーラF312/TAZ31を得てF3に継続参戦する。これまでのところテストでは粒ぞろいの上位陣にややタイムで離されているが、勝負どころの1年と言える。開幕戦では5台がエントリーしているF3-Nも、今季激しい戦いとなりそう。テストでは片山義章(Petit LM Racing)、DRAGON(B-Max Racing F308)らが好調なタイムをマークしているが、誰が上位に来てもおかしくないだろう。

 全日本F3の第1ラウンドは、鈴鹿サーキットで4月21日(木)から専有走行がスタートする。激戦必至の戦いを制し、チャンピオンを獲得するのは誰になるのか。今シーズンの全日本F3はぜひご注目いただきたい。

 より深いプレビューは、4月22日発売のオートスポーツNo.1430にて。エンジンウォーズの現況や、注目ルーキーたちにクローズアップしている。