そのなかで、昨年からの継続フル参戦は山下健太(ZENT TOM'S F312)、石川京侍(TODA FIGHTEX)、山口大陸(タイロク・エクシード28号)の3人。近年多くのチャンピオンを輩出してきた名門トムスから、3年目のF3参戦となる、昨年2位の山下が今シーズンの中核となりそうだが、ふたり(開幕2戦は3人)の強力なドライバーを揃えるB-MAX Racing Team with NDDPが、山下に待ったをかけそうなのだ。チームは今季、GT500ドライバーの千代勝正と、ヨーロッパで高い評価を得てきたGTアカデミー出身のヤン・マーデンボローを起用。開幕2戦では、GT500ドライバーの佐々木大樹がこれに加わる。
興味深いのは、B-MAX Racing Team with NDDPの使用エンジンだ。高星明誠とルーカス・オルドネスを起用していた昨年は、同じトヨタ・トムスTAZ31エンジンを使用していたが、今季は新たに、ヨーロッパで実績あるスピースチューンのフォルクスワーゲンA41エンジンを使用。オフテストの段階では、「トラブルもないし、フィーリングもコントローラブル(千代)」と、さすがの実力を披露している。
また、これまで松下信治、福住仁嶺をヨーロッパに送り出してきたHFDP RACINGからは、新たに非常に注目が集まるドライバーが参戦する。ホンダも大いに期待をかける阪口晴南(HFDP RACING F312)だ。親子3代で故アイルトン・セナのファンという家に生まれた阪口は、幼少期からカートのチャンピオンを数多く獲得してきており、昨年限定AライでFIA-F4にデビュー。なんとまだ弱冠16歳の高校生だ。今季は限定AライでF3とFIA-F4に参戦。カートとは異なるレースでの駆け引きを身につければ、松下や福住に続く道も開けてくるはず。ただ、HFDPは大津、阪口ともルーキーだけに、ときには協力し合ってチームのセットを進める必要もあるだろう。
2年目以上の参戦となるドライバーたちに対して、将来を期待されるルーキーたちがどう“かみついて”くるのか。今季のF3はそんな構図も見え隠れする。
●どのドライバーにとっても勝負の1年。開幕戦から目が離せない また、今年は女性ドライバーとしても注目を集める三浦愛が、総合優勝を争えるダラーラF312/TAZ31を得てF3に継続参戦する。これまでのところテストでは粒ぞろいの上位陣にややタイムで離されているが、勝負どころの1年と言える。開幕戦では5台がエントリーしているF3-Nも、今季激しい戦いとなりそう。テストでは片山義章(Petit LM Racing)、DRAGON(B-Max Racing F308)らが好調なタイムをマークしているが、誰が上位に来てもおかしくないだろう。