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道上、脇阪両監督がドライバー時代との違い、監督としての理想像を語る

2016年04月19日 19:21  AUTOSPORT web

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道上龍監督と脇阪寿一監督
4月16日にお台場で開催された「モータスポーツジャパン フェスティバル インお台場」で道上龍監督と脇阪寿一監督がブリヂストンブースでトークショーを行った。

 2月のトヨタ・モータースポーツ体制発表会でGT500クラスからの引退を発表した脇阪は、今シーズンからLEXUS TEAM LEMANS WAKO'Sの監督を務めている。また、2013年までGT500で戦い、昨年から監督としてスーパーGTに携わる道上も、引き続きドラゴ・モデューロ・ホンダ・レーシングを率いている。

 公式戦という形では先日のスーパーGT岡山が監督としてのデビュー戦だった脇阪監督は、「まだ監督と呼ばれるのは慣れないですが、周りはわざと“脇阪監督”とからかってくる(笑)。でも、ドライバーの頃から監督みたいなことはやらせてもらってきたので、そういう部分ではふたりの優秀なドライバーを使ってチームを機能させることは、比較的得意かもしれない」と、当初の印象語った。

 ただ、実際に監督業をやり始めると戸惑う事が多くなってきたという。
「実際にやってみると、ものすごくしんどい。ドライバーはセッションの時だけ乗って、その前後にクルマの報告をするだけ、あとはイベントもありますが比較的自由だった。でも監督の場合はずっとチームのことを見ておかなければならないし、うちのチームは何かにつけてマネージャーが“監督どうしますか? 監督どうしますか?”って聞いてくるから、意外と大変ですね」と、ドライバー時代とは違う監督業の難しさを吐露した。

 また道上監督は「普段、監督は何をしているのか?」というファンの素朴な疑問にふれる中で、「ドライバーの経験もあるので、彼らの心境で考えてあげる。基本的にドライバーがやりやすい環境を監督が作ってあげるということを、僕は一番に考えています。例えば、ドライバーとエンジニアが対立することもありますが、その時はやっぱりマシンを走らせているのはドライバーだから、もう少しドライバーが言っている事も優先してあげてほしいというフォローもしたりします」と、自分なりのアプローチを披露した。


「これから楽しみな部分はあるけど、僕がドライバーの頃に好き勝手やってきた事を今になって反省しているところもある」とは脇阪監督。気づかされる事も多いというが「大切なのは時間をかけてでも、それに気づいて反省し、自分を変えていくこと。諸先輩方に敬意を持ちながら自分の色を出してスーパーGTを盛り上げていきたいなと思います」と述べ、チームの理想像についても「ドライバーやエンジニアだけではなくチームスタッフ全員、できたらスポンサーの方々も頭の中で1台のクルマを同じように走らせるイメージを常に持てるチームにしたい。メカニックがピット作業でミスをしても、全員のミスだと思えるような集団を作っていきたいですね」と、その想いを熱く語った。

 道上監督も「ドライバーの時はワガママを言いたい放題でしたが、逆に今は立場的にそうじゃないですから、たまにはドライバーの意見を聞いて、理解したいなと思うところもあったりするので、そういう部分を受け止めつつ、全体を良くしていけるようになりたい」と、改めて監督業への意気込みを示した。

 ふたりのトークを聞きに集まったファンは、それぞれの監督業に対する考えに興味津々に聞き入っていた。