2016年04月18日 18:02 弁護士ドットコム
熊本で4月14日から地震が相次いで発生し、激しい揺れでパニックになったペットが逃げ出すケースが多発した。熊本市動物愛護センターでは、18日16時45分現在、飼い主がわからない犬を7匹保護している。
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同センターによると、15日8時30分~18日16時45分の間に、地震によって飼い主とはぐれてしまった犬14匹を保護。7匹は無事、元の飼い主のところに引き取られたが、残りの7匹はまだ飼い主がわからないままだ。保護した猫はいない。またこの期間中、迷子になった犬猫の飼い主や、犬猫を保護をした人からの問い合わせが200件近く寄せられているという。
災害時、ペットとはぐれないために、普段から飼い主がしておくべき対策は何だろうか。環境省の「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」では、普段から、飼い主の連絡先やペットの名前を書いた「迷子札」や、15桁の個体識別番号が記録された「マイクロチップ」をペットに装着することを勧めている。
ただ、迷子札やマイクロチップの装着が浸透しているとは言い難いようだ。熊本市動物愛護センターの担当者によると、地震後にセンターで保護した14匹の犬のうち、「1匹だけ、狂犬病予防の注射済票がついている」とのことだったが、マイクロチップを装着している犬はいないという。
担当者は、「特に、小型犬で室内飼いの場合、『うちの子は外に出ないから』と首輪すらつけない場合が多い。万が一の場合に備えて、せめて首輪に、名前と飼い主の連絡先を書くなどしてほしい」と話していた。
環境省のガイドラインでは、災害時、飼い主とペットが一緒に避難する「同行避難」を推奨している。いざ災害が起きたとき、自分の身の安全を守りながらペットを連れてすみやかに避難するためには、普段からのしつけや準備が物を言う。
ガイドラインでは、普段からキャリーバックなどに入ることを嫌がらないことや、犬の場合は、「待て」、「おいで」などのしつけをしておくこと、数日分のエサやトイレ用品を1つにまとめてすぐ持ち出せるようにしておくことなどを推奨している。避難所までの行き方や所要時間を事前に把握し、実際にペットを連れて避難所へ行く訓練をしておくことも勧めている。
ただし、無事にペットと一緒に避難できても、油断は禁物だ。避難所では様々な人が集まって共同生活をするため、ペットが他人にかみついたり、体毛や糞尿の処理をめぐってトラブルになることもある。東日本大震災における避難所では、犬の鳴き声や臭いなどの苦情や、「避難所で犬が放し飼いにされ、寝ている避難者の周りを動き回っていた」、「ノミが発生した」など、飼い主が適正な飼育を行っていないことによるトラブルが多く見られたという。
ガイドラインでは、避難所におけるペットの飼育について、ケージやキャリーバックに普段から慣らしておくことや、人や動物を怖がったり、むやみに吠えないこと、決められた場所で排泄ができることなど、普段のしつけの重要性を指摘している。また、予防接種やノミなどの駆除を行い、ペットの健康、衛生状態を確保することも大切だという。
(弁護士ドットコムニュース)