17日にカリフォルニア州ロングビーチ市街地コースでインディカー・シリーズ第3戦の決勝レースが行われ、サイモン・ペジナウがチーム・ペンスキー移籍後初となる勝利を挙げた。佐藤琢磨(AJフォイト)は得意の市街地で好走を見せ、5位でレースを終えた。
今年で第42回目の開催となった伝統のトヨタグランプリ・オブ・ロングビーチ。全長1.968マイルのストリートコースを80周するレースは、日差しが照りつけ、気温も摂氏28度まで上がった暑い中で戦われ、ポイントリーダーとしてこのレースを迎えていたサイモン・ペジナウが優勝した。
予選3番手で、2列目イン側グリッドからスタートしたペジナウは、序盤にパスしたスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)に1回目のピットストップでポジションを取り戻されたが、2回目のピットタイミングを燃費セーブによって遅らせ、自分より前を走るポールシッターでチームメイトのエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)とディクソンがピットインしたところで全力プッシュ。ペジナウは、ピット作業を終えてコースに戻ると、ギリギリでディクソンの前に出ることに成功。そのままゴールまで逃げ切り、チーム・ペンスキーでの初勝利を手に入れた。
シュミット・ピーターソン・モータースポーツから名門ペンスキーに移籍して2年目。彼にとってのキャリア5勝目は、シボレー・ユーザーになってからの初勝利でもあった。
ストリートでのレースでありながら、今日のレースでは一度もイエローフラッグが出されなかった。奇策の一切通じない、2ストップのレースは燃費とスピードの勝負となった。ペジナウはシュミット時代から共に戦ってきているエンジニアと共にプラクティスからローダウンフォースにこだわり続け、そのセッティングでレースに出ることでアドバンテージを手にしていた。
ペジナウがディクソンのギリギリ前にピットアウトする際、彼はコースとピットを隔てるダブルラインをカットした。その行為が違反にあたるということでインディカーは審議を行ったが、警告だけがペジナウには与えられ、ペナルティは課せられなかった。
2位となったディクソンは、「ビデオを見ていないが、チームが言うにはペジナウは4輪全部でラインをカットしており、ペナルティの対象とされるべきだったということだ」とコメントした。
インディカーはラインカットを三段階で考えており、最も危険度が低く、有利になることが少ないレベルだと警告、その次のレベルだと同一周回の最後尾、危険、あるいは大きな優位を手にするレベルだとピットのドライブスルーか、さらにストップ&ゴーのペナルティと決めていたという。
そして、ペジナウの違反ぶりは小さな、ほとんど悪い影響を及ぼさないものであるから、警告だけにとどめたということだ。何やら判然としない裁定であった。今後はよりクリアなルールが設定されるべきだろう。
「ディクソン相手に戦うのは大変だ。それだけに勝ったうれしさは大きい。今日はピットタイミングがよく、クルーの作業も本当に速かった」とペジナウは喜んでいた。カストロネベスは2戦連続のポールスタートだったが、今回も勝てなかった。しかし、ロングビーチでは今季初の表彰台には上った。
新しいエアロキットで優位を手にしているシボレーは、ロングビーチの予選でトップ6を独占したが、レースではトップ4を占めるにとどまった。それでも、表彰台は2戦続けてシボレーユーザーのみ。フェニックスでの第2戦から2戦連続の1-2-3-4フィニッシュを記録した。
ホンダ勢トップは佐藤琢磨だった。予選8番手からのトップ5入りは素晴らしい戦いぶりだった。
「今日の結果は非常にうれしい。プラクティスで苦しんで、予選で上位まで挽回して、レースでも上位で戦い続けることができていた。コーションなしで体力的にタフなレースだったが、燃費セーブも大変だった。ピットで2台をパスし、レース終盤にはトニー・カナーンをバトルの末にパスできた。いいレースを戦えた。チーム全体が素晴らしい力を発揮した」と琢磨はレース後に語っていた。
ポイントスタンディングではペジナウがトップをキープ。ランキング2位は6点差でディクソン。3位がモントーヤ、4位がカストロネベス。琢磨はカナーンの後ろの6位という好位置。開幕戦決勝欠場のパワーは今回は7位フィニッシュで、ランキングは8位まで上げている。