新年度に入り、新人を迎える企業が多いことだろう。昨今の業績の回復により、何十年ぶりかで新卒採用を再開した企業もあると聞く。そういう会社では、急に現れた若い新入社員の扱いに困惑している可能性が高い。
そんな若者に悩まされている人たちに、本好き芸人オードリー若林が人気作家2人を招いて爆笑トークを繰り広げるトークバラエティ「ご本、出しときますね?」(BSジャパン・4月8日放送)で出てきた言葉を紹介したい。(ライター:okei)
「10年後か分かんないけど」いつか分かれば
この日のゲストは、ともに直木賞作家の西加奈子と朝井リョウ。そこで「自分に課しているルール」を話すコーナーがあり、MC若林の自分ルールは、後輩の扱いに悩むビジネスマンの「心の持ちよう」の見本にもってこいだった。
若林は、「今日分かってもらおうと思わないようにしよう」との思いで、人と話しているという。今すぐではなく長いスパンで「いつか分かってもらえればいい」というスタンスだ。
具体的な不満としては「ライブに遅刻して行くのが、カッコいいと思っている後輩がいるんですよ」と若林。「ライブギリギリに来て、余裕ですって顔して出て行って、まあまあスベってる若手の漫才師」だという。
その彼に飲み会の席で「おまえM1の予選も15分前に入ってたらしいな。なめてんだよな」と話をしてみたら、「まあ~」という気のない返事。しかし若林はあえてそれ以上説教しない。「今日こいつを変えようと思うと、失礼なこと言っちゃう」と思って自分を抑えるのだ。
「今日自分が言ったことが種みたいなもんだと思って。10年後か1か月後か分かんないけど、いつか分かってくれるといいなと思うようにしないと」
と心の内を語り、説教を続けてしまうと「飲みすぎちゃうし」と意外な結論で締めてゲストの爆笑を誘っていた。
「分かってもらいたいと思うと、言葉が角ばってきちゃう」
ゲストの西も、相手を無理に変えようとすれば「爆弾みたいな、即効性のあることばっかり言っちゃうからな」と賛同。対する朝井は、自身を「今日分かってもらいたいタイプ」と分析する。読者に分かってもらうために、
「右手右足、左手左足と順番に縛りつけ、最後に相手の頭をつかんで、目の前でウワァー!としゃべる」
ような作品が多いと明かした。西は「分かってもらおうとすら思ってない」とのことで、その中間が若林というわけだ。さらに若林は、かなり相手を尊重するらしく、
「自分の言葉が種だって思うのも、けっこう上から(目線)じゃない?」
と気にしており、さらに「自分の意見を絶対分かってもらいたいと思うと、言葉が角ばってきちゃう」と、どこまでも平和主義的な姿勢だ。何も言わずに放っておくなら教育責任の放棄だが、とりあえず注意喚起はしている。しつこく責めたてず、本人が分かるまで待つことを選んでいるのだ。
結局は「自分で気づくしかない」のかも
これに朝井が「信頼していないとできない」と言い、西が「愛情がないとな」と続けたが、若林がこうした考えを持つ理由は、彼自身が「先輩に怒られることが多かったから」だと過去を振り返る。
「俺がそういうことが多かったの。先輩にこうだぞって言われて、(でも聞かなかったから)ほんと20代のころの先輩に土下座して回りたいね」
そして、「前田健と青木さやかに、路上で正座しながら説教されたことあって、帰りにマエケンの家のポストを肘でグチャグチャにした」と暴露し、スタジオは爆笑に包まれた。
この件は本人も反省しているようだが、自身の経験から、きつくなじっても反発心を強めるだけ、結局は自分が気づくしかないと悟っているのだろう。こういう態度でいるのは意外と大変で、何度言っても分からない新人には、思わずキツイ言葉をぶつけたくなる。そんなときは、若林の境地を思い出してみてはいかがだろうか。
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