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専門家「“もっと収入があれば貯蓄できる”は大間違い」

2016年04月17日 14:40  週刊女性PRIME

週刊女性PRIME

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ぜいたくしているつもりはないのに貯蓄が増えない……という悩みを抱えている人も多いだろう。そこでお金のプロが問答無用のダメ出し&貯まるテクを伝授してもらった。 【CASE1】36歳で貯蓄125万円は家計の黄色信号 ■佐藤あやこさん(仮名)宅の家計内訳 神奈川県在住の36歳。高校卒業後、OLを経て結婚。賃貸マンションに夫と5歳の娘と3人暮らし。インドア派で節約は得意なはず。 ・月収(手取り)32万5000円(夫27万円、妻5万5000円) ・食費 3万円 ・住居費 7万5000円 ・水道、光熱費 1万3000円 ・通信費 2万円 ・こづかい(夫) 3万円 ・教育費 3万5000円 ・趣味、娯楽費 0円 ・被服費 1万円 ・交際費 0円 ・日用雑貨 1万円 ・その他 5万5000円 ・保険料 2万5000円 ・毎月の貯蓄 2万2000円 「人生でしっかり貯蓄できる時期って、実は3回しかないんですよ!」(ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さん) 佐藤さんは、その時期の真っただ中にいるという。なのに、現在の貯蓄額はたったの125万円……。 「この“貯め期”を逃さず計画的に貯蓄することが、一生お金に困らない秘訣です」(黒田さん) 第1の貯め期は“子どもができるまで”。第2は、“子どもが小学校に通う前の未就学児の間”。第3は、“子どもの独立後”。 「つまり、教育費や住宅ローンの支払いが重ならないときが“貯め期”です!」(黒田さん) お子さんが5歳で、マイホームを購入していない佐藤家は第2の貯め期なのです。 「部活の費用や習い事、塾や予備校へもお金がかかる中学校以降を考えると、なるべく幼いうちに貯めておいて! 手始めに、あやこさんの収入を思い切ってすべて定期預金にしてみては?」(黒田さん) マイホームを購入する可能性を考えても、夫の収入のみでやりくりするのがおすすめ。今の家計が見えていないと、将来の家計状況は絶対に見えないと黒田さんは断言します。 「費目の“その他”は、使途不明金のようなもの。それが5万円を超えているなんて、家計管理ができていない証拠です! 3か月分のボーナスが出る夫の収入はなかなか◎。この貯め期をこれ以上逃さないために、簡単なメモでもいいから家計簿で家計を把握するところから始めましょう」(黒田さん) さらに、子どもの私立入学やゆとりある老後資金のために、貯蓄を増やすステップも考えてほしいと黒田さん。 「お子さんがそろそろ手がかからなくなるあやこさん。ご自身の働く時間を増やしてみるなど“貯蓄増”へ向けて頑張ってみてください!」(黒田さん) 【CASE2】収入の増減が激しい自営業 ■大友彩乃さん(仮名)宅の家計内訳 埼玉県在住の38歳。第2子の保育園入園を機に、正社員で復職。自営業の夫、7歳の長女、1歳の次女の4人家族。夫の親と同居中。 ・月収(手取り)61万5000円(夫35万5000円、妻26万円) ・食費 7万円 ・住居費 0円(親と同居) ・水道、光熱費 2万円 ・通信費 1万5000円 ・こづかい 10万円(夫5万円、妻5万円) ・教育費 5万円 ・趣味、娯楽費 4万円 ・被服費 4万円 ・交際費 2万円 ・日用雑貨 2万円 ・車両費 2万円(駐車・ガソリン代) ・保育園代 7万円 ・その他 7万円 ・保険料 2万円 ・毎月の貯蓄 6万円 「共働きで収入も十分ありますね。でも、こういうお宅ほど、効率よく貯められていないことがよくあるんです!」(黒田さん) 夫は自営業のため収入の増減がある。もっとも低いときの収入に合わせて家計のバランスを考えるのがマスト。 「大友家はラッキーなことに2世帯住宅のため住居費がゼロ。そのわりには、年間の貯蓄率が12%と問題あり!」(黒田さん) まずは今年から正社員になった妻のボーナス50万円は、すべて貯蓄に回しましょう。おこづかいや車両費など、細かなぜいたくも要注意。 「1度、生活レベルを上げてしまうとなかなか下げられないもの。収入が多いときこそ気を引き締めておいて」(黒田さん) 一方で、万が一の場合の夫婦の保障が確保されているのかが心配。 「所得補償など、備えは万全にしないとダメ」(黒田さん) さらに、お子さん2人を中学校から私立へ行かせたい大友家。今の貯蓄率では、間に合わない。 「今の時期にしっかり貯めておかないと、子どもの将来の選択肢を狭めてしまう可能性も。特に私立の学校へ通わせる場合、“塾に行かないと勉強に追いつけない”など、学費以外にも考えられる出費がふくらみますよ!」(黒田さん) さらに長女が大学入学時に、次女が中学生になる大友家。学費がかかる期間が長いのも気になるところ。 「もちろん、ご夫婦の生活もありますよね。第2子が成人を迎えるころには、おふたりは57歳。子どもの独立後に訪れる第3の貯め期がおよそ3年と非常に短い。今、猛ダッシュで貯蓄することで明るい老後を送れますよ!」(黒田さん) 【CASE3】3ケースの中で収入がいちばん少ないけど家計状況は◎ ■山田ちえ子さん(仮名)宅の家計内訳 神奈川県在住の33歳。夫と5歳の息子と3人暮らし。20代で2500万円の一戸建てを購入。将来のために貯蓄を増やしたい。 ・月収(手取り)29万5000円(夫26万5000円、妻3万円) ・食費 5万円 ・住宅ローン 6万円 ・水道、光熱費 1万5000円 ・通信費 1万円 ・こづかい 2万円(夫1万円、妻1万円) ・教育費 3万5000円 ・趣味、娯楽費 5000円 ・被服費 1万円 ・交際費 1万円 ・日用雑貨 5000円 ・車両費 6000円(駐車・ガソリン代) ・ローン返済(車) 2万円 ・その他 0円 ・保険料 1万9000円 ・毎月の貯蓄 3万円 「多くの人が“もっと収入があれば、うちだって貯蓄できるのに……”と思っていますが、それは大間違いです!」(黒田さん) 支出を把握してバランスを保てている家計なら、たとえ収入が少なくても貯蓄はしっかりできるもの。 「山田家は、今回の塾生の中で収入が多いほうではありませんでした。しかし、家計のバランスは理想的! 貯蓄も年収の20%できていますし、立派な黒字家計といえますね」(黒田さん) 優秀な家計の登場に、思わず笑顔がこぼれる『家計見直し塾』講師の黒田さん。 「家計管理の要である“支出の把握”ができた人こそ、お金を制する者。家計状況をここまで把握しているちえ子さんは◎です!」(黒田さん) 山田家はお金のステージを1つ上げて黒字状態をキープしながらお金を運用していくことに目を向けるのもあり。 「まずは、少額非課税投資制度の『ニーサ』や今年スタートしたばかりの『ジュニアニーサ』など税制上メリットのある商品を試してもよいと思います。お金は単に寝かせているだけでは、いっこうに増えませんから」(黒田さん) 現在の預金200万円を資金にして貯蓄を増やすと、さらに家計が安定していくと黒田さん。 「夫は公務員のためボーナスもあり、年齢に応じて月収は徐々に上がるでしょう。さらに貯蓄を大きく増やすには、投資と妻の収入アップの両方が必須となります」 ちえこさんが月2万円多く稼いだら、年間で貯蓄がプラス24万円。 「貯蓄を増やして、投資や運用でお金にも働いてもらう。鬼に金棒の家計を築いていってくださいね!」 イラスト/シライ カズアキ